無料資料請求
少額訴訟は拒否できる?無視した場合のリスク・訴訟された時の対応・事例まで民訴法の条文ベースで完全解説【2026年最新】
法律知識

少額訴訟は拒否できる?無視した場合のリスク・訴訟された時の対応・事例まで民訴法の条文ベースで完全解説【2026年最新】

👤 こんな方に読んでほしい記事です

  • 突然「少額訴訟」の訴状が届いて、拒否できるのか、無視していいのか困っている
  • 訴えられた覚えがある(敷金・貸金・給料・売掛金など)が、どう対応すべきかわからない
  • 出廷しないといけないのか、仕事を休めるか不安
  • 無視した場合に本当に差し押さえされるのか知りたい
  • 過去に裁判を無視した事例・結果を具体的に知りたい
  • 将来の訴訟リスクへの備えを今のうちから整えておきたい

ある日突然、簡易裁判所から封筒が届きます。中身は「口頭弁論期日呼出状」と、原告の訴状のコピー。いわゆる少額訴訟を起こされたという通知です。

「これは拒否できるのか」「無視したら無効になるのか」「仕事を休んで裁判所に行かないといけないのか」。頭の中には一気に疑問が押し寄せますが、結論から言えば、拒否(通常訴訟への移行申述)は制度として認められている一方で、何もせず無視することは最悪の選択です。無視した場合、相手の主張が全面的に認められる「擬制自白」が成立し、確定判決→強制執行→給与・預金の差し押さえという流れに繋がります。

この記事では、少額訴訟の拒否と無視の法的な違い、訴えられた場合の具体的な対応フロー、答弁書の書き方、過去の事例、強制執行の仕組み、そして将来の訴訟リスクに備える弁護士費用保険の考え方までを、民事訴訟法の条文と裁判所公式情報に基づいて徹底解説します。

✓ POINT

この記事でわかること

  • 少額訴訟は「拒否」できるが「無視」は絶対NGな理由
  • 通常訴訟移行陳述書の提出タイミングと記載内容
  • 無視した場合に起きる擬制自白・仮執行宣言・差し押さえのフロー
  • 答弁書の書き方と擬制陳述で出廷せずに対応する方法
  • 敷金・貸金・給料未払いの実例と判決の傾向

少額訴訟とは|60万円以下の金銭請求を1日で解決する特別手続き


少額訴訟制度の全体像 民事訴訟法368条 簡易裁判所の特別手続き

結論

少額訴訟は60万円以下の金銭の支払いを求める訴えに限って使える簡易裁判所の特別手続き。原則1回の期日で審理を終え即日判決される(民事訴訟法368条〜381条)。

少額訴訟の法的定義と対象

少額訴訟とは、民事訴訟法第368条第1項に定められた特別な訴訟手続きで、60万円以下の金銭の支払いを求める訴えに限って簡易裁判所で利用できる制度です。1998年(平成10年)の民事訴訟法改正で導入され、2004年4月からは従来の30万円から60万円へと上限が引き上げられました。

制度の目的は「裁判は時間と費用がかかる」「当事者にとってわかりにくい」といった従来の民事訴訟の問題点を解消し、国民が利用しやすい司法制度を実現することです。具体的には、原則として1回の口頭弁論期日で審理を終え、即日判決が言い渡されます(民事訴訟法370条1項・374条1項)。

対象となるのは、金銭の支払いを求める訴えに限定されます。物の引き渡し、建物の明け渡し、債務不存在確認の訴え等は、金額が60万円以下でも少額訴訟の対象外です。具体的には、貸金返還、売掛金、賃金(給料)、家賃、敷金返還、交通事故の損害賠償など、実務で利用されているケースが多くあります。

通常訴訟との違い|スピード・控訴不可・判決の特殊性

少額訴訟の最大の特徴は審理期間の短さです。ベリーベスト法律事務所の解説によれば、通常訴訟が数回の弁論期日を重ねて数か月以上かかるのに対し、少額訴訟は1日で審理が終了します。また、弁護士を立てず本人だけで対応できるよう訴状の書式も簡略化されており、簡易裁判所の窓口や裁判所書記官の助けを受けながら進められるのが特徴です。

一方で少額訴訟特有の制限もあります。民事訴訟法第377条により少額訴訟の判決に対しては控訴することができず、不服がある場合は判決をした同じ簡易裁判所に対して2週間以内に異議申立てを行うしかありません(同法第378条1項)。この異議申立てが認められると、同じ裁判所で今度は通常訴訟として再審理が行われますが、その判決に対してもやはり控訴はできないとされています(同法第380条1項、最高裁平成12年3月17日判決)。

年10回までの利用制限と即時取調べの原則

少額訴訟には同一の簡易裁判所において同一の年に10回までという利用制限があります(民事訴訟法第368条3項・民事訴訟規則第223条)。これは一部の事業者が少額訴訟制度を濫用することで、一般の利用者が制度を使えなくなる事態を防ぐための制限です。虚偽の回数届出をした場合は10万円以下の過料の制裁があります。

また、証拠は「即時取調べ可能なものに限る」とされており(民事訴訟法第371条)、書面や証人は1回の期日ですぐに調べることができるものしか扱えません。この点が、書面のやり取りを重ねて争える通常訴訟との決定的な違いになります。

相談者

40代男性

突然簡易裁判所から封筒が届きました。元同僚に貸した20万円のことで訴えられているようです。裁判なんて初めてで、何をどうすればいいのか、拒否できるのかも分かりません…。

工藤辰浩

工藤

落ち着いてください。まず重要なのは、「拒否」と「無視」は法的にまったく違うということです。拒否は制度として認められた権利行使ですが、無視は放棄と同じ扱いになります。次の章で具体的に解説します。

少額訴訟は拒否できる|「通常訴訟移行」という権利


少額訴訟 拒否と無視の違い 民事訴訟法373条 通常訴訟移行陳述書

結論

被告は少額訴訟ではなく通常訴訟で審理するよう求める権利がある(民事訴訟法373条1項)。ただし「最初の口頭弁論期日で弁論をする前」までに申述が必要

民事訴訟法373条|被告には「通常訴訟移行申述権」がある

民事訴訟法第373条1項は「被告は、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる」と明確に定めています。ただし「ただし、被告が最初にすべき口頭弁論の期日において弁論をし、又はその期日が終了した後は、この限りでない」とも規定されています。つまり最初の期日で言い分を述べてしまったり、その期日が終わった後では、もう通常訴訟に移行させることはできません。

少額訴訟が1回の期日で審理を終え、証拠も即時取調べに限られる簡易な手続きであるため、「もっと丁寧に審理してほしい」「複雑な争点があるので書面をやり取りしたい」「反訴をしたい」と考える被告に対して、通常訴訟で争う選択肢を保証しているのがこの条文の趣旨です。

通常訴訟に移行させるべき3つのケース

リスク対策.comの弁護士解説によれば、通常訴訟への移行を検討すべきケースは主に次の3つです。

通常訴訟に移行すべきケース
①争点が複雑で1回の期日では反論しきれない:事実関係が複雑に絡み合うケース、契約書の解釈に争点があるケース、複数の反論を段階的に出したいケース。
②反訴を提起したい:被告から原告に対して逆の請求をしたい場合、少額訴訟では反訴が認められていないため、通常訴訟への移行が必要(民事訴訟法第369条)。
③判決に控訴して争う可能性を残したい:少額訴訟では控訴ができないため、判決に不服があっても異議申立てしかできない。高等裁判所での審理まで視野に入れるなら通常訴訟で争うべき。

通常訴訟移行陳述書の書き方と提出期限

通常訴訟に移行させるには「通常訴訟移行陳述書」(または「通常移行申述書」)という書面を裁判所に提出する必要があります。ミスター弁護士保険の解説によれば、陳述書に特別な書式はありませんが、次の内容が含まれていれば問題ありません。

ℹ️

通常訴訟移行陳述書の記載内容
事件番号(訴状に記載されている「令和〇年(少コ)第〇号」など)
原告・被告の氏名
「本件について通常の訴訟手続に移行させることを求める」という申述の趣旨
提出日・署名押印
提出先の簡易裁判所名

提出期限は「最初の口頭弁論期日で弁論をする前まで」です。確実なのは、訴状と一緒に届く呼出状を受け取ったら、期日前にできるだけ早く陳述書を提出することです。陳述書が受理されれば、訴訟はその時点で自動的に通常訴訟に移行します(民事訴訟法第373条2項)。通常訴訟に移行すれば、1回で判決ということはなくなり、数か月かけて書面や証拠をやり取りすることができるようになります。

原告側は移行を拒否できない|非対称な権利

注意したいのは、この「少額訴訟を拒否して通常訴訟に移行させる権利」は被告だけが持つということです。原告が少額訴訟を選んだ後に通常訴訟に変更することはできません(東京都交通安全協会の解説)。また、原告が通常訴訟で訴えた場合は、被告から少額訴訟への変更を求めることもできません(被告から通常訴訟を拒否することはできない)。この非対称な仕組みは、少額訴訟の簡易性が被告にとって不利になりすぎないよう、被告に選択権を保証したものといえます。

少額訴訟を無視するとどうなる|擬制自白で一発敗訴


少額訴訟 無視した場合 擬制自白 欠席判決 仮執行宣言のリスク

結論

訴状を無視し答弁書も出さず期日にも出廷しない場合、「擬制自白」が成立して原告の主張が全面的に認められる。仮執行宣言付きで即日判決が出るため、すぐに強制執行されるリスクがある。

擬制自白とは|沈黙=相手の主張を認めた扱い

民事訴訟では、当事者が相手の主張に対して積極的に反論しない場合、「相手の主張を認めた」ものとして扱われる制度があります。これを「擬制自白(ぎせいじはく)」といいます。川崎ベリーベスト法律事務所の解説によれば、裁判を欠席した人は相手と争うチャンスを自ら放棄したとみなされ、原告の主張がそのまま認められる判決(欠席判決)が言い渡されることになります。

少額訴訟では、訴状が送達されたにもかかわらず被告が答弁書を提出せず、第1回口頭弁論期日にも欠席した場合、この擬制自白が成立します。裁判所は原告の主張を前提として判決を書くため、訴状の内容に明らかな不備がない限り、原告の請求をそのまま認める判決が出ることになります。

答弁書を提出していても、その内容が原告の主張と争う趣旨でなければ同様に擬制自白が成立します(フィオルーナ司法書士事務所の解説)。「答弁書を出しただけ」では意味がなく、原告の主張を具体的に否認する記載が必要です。

仮執行宣言付き判決|判決確定前でも強制執行可能

少額訴訟でもっとも深刻なのは、判決に「仮執行宣言」が付されることです。民事訴訟法第376条1項は、原告の請求を認める判決には必要的に仮執行宣言を付すと定めており、これにより判決が確定する前でも強制執行が可能になります。よつば総合法律事務所の解説によれば、この仮執行宣言により、債権者は判決言い渡しの直後から差し押さえ手続きに着手できます。

つまり「判決書を受け取って2週間以内に異議申立てをしよう」と考えている間に、原告側は給与や預金口座の差し押さえに動くことができるということです。異議申立てによって判決の強制執行を止めたい場合は、別途「強制執行停止の申立て」を裁判所に行う必要があり、その際は担保金の供託を求められることが多く、手続きが複雑になります。

強制執行で差し押さえられる財産

少額訴訟判決で強制執行に進んだ場合、裁判所が指定する執行官や裁判所書記官を通じて、被告の財産に対する差し押さえが実行されます。弁護士保険のエールの解説によれば、少額訴訟債権執行で差し押さえできる財産は次の通りです。

⚠️

差し押さえの対象になる主な財産
①給与:原則として手取りの4分の1まで(月額44万円を超える場合は44万円を超える全額)。勤務先に差し押さえ命令が送達されるため、会社に知られることになる。
②預貯金:銀行の口座を差し押さえることが可能。複数の銀行口座を調査して差し押さえるのが一般的。
③動産:現金・高額家電・貴金属など。ただし生活必需品は差し押さえ禁止財産として保護される。
④不動産:持ち家がある場合は不動産執行の対象。ただし手続きが重く費用対効果で選ばれにくい。

なお、少額訴訟には通常の強制執行より簡易な「少額訴訟債権執行」という制度(民事執行法第167条の2以下)が用意されており、判決をした簡易裁判所で手続きができます。通常の強制執行では執行文付与の手続きが必要ですが、少額訴訟判決には仮執行宣言が付されているため、手続きが簡略化されています。

無視は「2回ペナルティを受ける」|期日欠席と差し押さえ

無視することのダメージは「判決で負ける」だけでは終わりません。川崎ベリーベスト法律事務所の解説でも指摘されている通り、「正当な理由がないまま裁判を欠席し続けていると、裁判官からの印象が悪くなる」ことがデメリットとして挙げられます。仮に後から異議申立てで争う場合でも、最初の欠席が不利な心証につながる可能性があります。

また、差し押さえが実行された後に「やっぱり払えない」「分割にしてほしい」と申し出ても、基本的には手続きが進みます。給与差し押さえが始まると、会社の給与担当者に命令書が届き、職場に「裁判で負けた」という事実が事実上知られることになります。社会的な信用への影響も含めれば、無視することで失うものは非常に大きいのです。

だからこそ、「訴えられるかもしれない」と不安を感じている今この瞬間に、備えを整えることが大事です。1日98円〜という、缶コーヒー1本より安い負担で、いざ訴えられたときに弁護士に迷わず依頼できる体制が作れます。訴状が届いてから「入っておけば…」と後悔する人が本当に多い。備えていないことが、今の時代いちばんもったいない選択です。

PR

もしもの訴訟トラブルへの備えに|弁護士保険ミカタ

訴訟された時の対応フロー|訴状受取から判決までの5ステップ


少額訴訟で訴えられた時の対応フロー 5ステップ 訴状受取から判決まで

結論

訴状を受け取ったら、①事実確認 → ②方針決定 → ③答弁書提出 → ④期日出廷or擬制陳述 → ⑤判決と対応という5ステップで冷静に動く。

Step1:訴状の内容を徹底的に確認する

訴状を受け取ったら、まず感情的にならず、書かれている内容を一字一句確認します。訴状には次の情報が書かれています。

ℹ️

訴状で確認すべき項目
①事件番号・事件名:令和〇年(少コ)第〇号=少額訴訟事件の番号
②原告・被告の氏名と住所:自分の氏名が正しいか、相手の身元は記憶通りか
③請求の趣旨:「〇〇円を支払え」という形で原告の請求内容が書かれている
④請求の原因:いつ・どこで・どのような契約や出来事があって債権が発生したかの主張
⑤口頭弁論期日:裁判が行われる日時(通常は訴状送達から1〜2か月後)
⑥少額訴訟の申述:「少額訴訟による審理及び裁判を求める」と記載があるか

法務省のウェブサイトでも注意喚起されていますが、まれに架空請求として少額訴訟を装った偽装通知が送られてくるケースもあります。本物の訴状であれば、必ず「裁判所名」「裁判所書記官の押印」「事件番号」が入っています。怪しいと感じたら、訴状に書かれている裁判所に直接電話で問い合わせて、本物かどうか確認してください。

Step2:方針を3択で決める|争う・一部認める・全額認める

訴状の内容を確認したら、次は自分の対応方針を決めます。基本的に選択肢は3つあります。

対応方針の3つの選択肢
①全面的に争う:そもそも借りていない・既に返済済み・金額が違う等、原告の主張に同意できない場合。答弁書で否認の意思を明確に示す。
②一部認めて一部争う:債務は認めるが金額が違う、利息の計算が違う、時効が完成している部分があるなど。一部認諾+一部否認の答弁書を出す。
③全額認めて和解・分割を求める:請求自体は認めるが、一括では払えない。少額訴訟では民事訴訟法第375条により、分割払い・支払猶予・遅延損害金免除の判決も可能。

特に③のケースでは、「自発的支払いをしやすくする」制度設計になっているため、経済状況によっては3年以内の分割払いや遅延損害金の一部免除が認められることがあります(ベンナビ債権回収の解説)。一括で払うのが難しい場合でも、和解や分割払いの提案をすることで現実的な落としどころが見つかることも多いのです。

Step3:答弁書を提出する(最重要)

方針が決まったら、答弁書を作成して裁判所に提出します。答弁書は訴状と一緒に届く書類の中に書式が入っていることが多く、裁判所ウェブサイトからもダウンロードできます。答弁書を出すことは、訴えられた側の最重要アクションです。提出期限は通常「期日の1週間前まで」とされていることが多いですが、具体的には訴状に書かれた指定期日を確認してください。

答弁書に必要な記載内容は次の通りです(章末の答弁書の書き方も参照)。裁判所に1部、原告に1部、手元に1部の合計3部を用意し、裁判所には直接持参か郵送(特定記録郵便など追跡可能な方法が望ましい)で提出します。

Step4:期日に出廷するか、擬制陳述で欠席するか

少額訴訟の期日は原則平日の昼間に設定されます。仕事の都合で出廷が難しい場合、どうしても都合が悪いことを裁判所書記官に連絡すれば、期日を変更してもらえる可能性があります。ただし変更は原告の都合も考慮されるため、必ずしも変更できるとは限りません。

期日の変更が難しい場合でも、「擬制陳述」という救済制度があります。民事訴訟法第158条は、簡易裁判所の第1回口頭弁論期日に限り、事前に提出した答弁書の内容を陳述したものとみなす制度を認めています。ただし簡易裁判所の事件の場合、被告側は第2回期日以降もこの陳述擬制が認められるため、少額訴訟でも答弁書をしっかり出していれば出廷しなくても一応の防御は成立します(川崎ベリーベスト法律事務所の解説)。

ただし、擬制陳述だけでは原告側が期日で出した新たな主張や証拠に対応できません。証拠調べや和解協議も口頭のやり取りが中心になるため、できる限り出廷することが望ましいのは間違いありません。

Step5:判決と異議申立てor和解

期日に審理が行われ、原則として即日判決が言い渡されます。判決には仮執行宣言が付されるため、原告は判決言渡し直後から差し押さえに動くことができます。判決に不服がある場合は、判決書または判決内容が記載された調書の送達を受けた日から2週間以内に、判決をした同じ簡易裁判所に異議申立てをすることができます(民事訴訟法第378条1項)。

異議申立てが認められると、同じ簡易裁判所で今度は通常訴訟として再審理が行われます。再審理の結果、元の少額訴訟判決が適切だと判断されれば「認可判決」、不適切だと判断されれば「取消判決」が言い渡されます。ただし、認可判決・取消判決に対しては控訴ができないため(民事訴訟法第380条1項)、異議申立てが事実上の最終戦となります。

答弁書の書き方|擬制陳述を活用するためのポイント


少額訴訟 答弁書の書き方 請求認否 反論のポイント

結論

答弁書は「出廷できなくても裁判に参加する唯一の手段」。原告の主張に対して「認める・認めない・不知」のいずれかを明示的に書くことが必須。

答弁書の基本構成

答弁書の基本構成は、次の通りです。簡易裁判所では定型書式が用意されていることが多く、それに従って記入すれば大きく外すことはありません。

ℹ️

答弁書の記載項目
①事件番号:訴状に書かれている番号(令和〇年(少コ)第〇号)
②原告・被告の氏名
③請求の趣旨に対する答弁:「原告の請求を棄却する」または「原告の請求のうち〇万円を超える部分を棄却する」など
④請求の原因に対する認否:原告が訴状に書いた事実を一つずつ「認める」「否認する」「不知」で答える
⑤被告の主張:なぜ原告の請求が認められないか、反論の理由を具体的に記載
⑥証拠書類:反論の根拠となる契約書・領収書・LINE・メール等を添付
⑦作成日・署名押印

「請求の趣旨に対する答弁」の書き方

ミスター弁護士保険の解説によれば、請求の趣旨に対する答弁は次のような定型文が使われます。

全面的に争う場合:「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。との判決を求める。」

一部認め一部争う場合:「原告の請求のうち〇万円を超える部分を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。との判決を求める。」

全額認める場合:「原告の請求を認諾する。」または分割払いを希望する場合は「被告は、原告に対し、〇万円を、本判決確定の日から毎月末日限り、月額〇万円ずつ分割して支払うとの判決を求める。」

「請求の原因に対する認否」の書き方|3つの選択肢

答弁書で最も重要なのがこの部分です。原告が訴状で主張している個々の事実について、「認める」「否認する」「不知」のいずれかを明確に答えます。ここで何も答えなかったり、争う姿勢を明確にしなかったりすると擬制自白が成立する可能性があるため、注意が必要です。

認否の3つの選択肢
①認める:原告の主張通りの事実があったと認める。争わない。
②否認する:原告の主張する事実はなかった、または違うと主張する。否認する場合は理由を書くことが望ましい(理由付き否認)。
③不知:原告の主張する事実について、自分の知らない事柄なので認否できないと述べる。不知は実質的には否認と同じ扱いになる。

被告の主張|反論の根拠を具体的に

単に「否認する」と書くだけでは説得力に欠けます。なぜ原告の主張が間違っているのか、被告側の言い分を具体的に書くことで、判決の流れを変える可能性が生まれます。次のような反論パターンが典型的です。

①弁済済みの主張:「原告の主張する債務は、令和〇年〇月〇日に銀行振込によりすでに弁済している(乙第1号証:振込明細)」

②時効の主張:「原告の請求する債権は、令和〇年〇月〇日の弁済期から5年が経過し、消滅時効が完成している(民法第166条)。被告はここに時効を援用する」

③そもそも契約がないとの主張:「被告は原告との間で訴状記載のような金銭消費貸借契約を締結した事実はない」

④相殺の主張:「原告は被告に対し〇万円の債務を負っており(乙第2号証)、被告は本訴状送達により、原告の請求債権と相殺の意思表示を行う」

証拠書類の添付|契約書・領収書・LINEのスクリーンショット

主張には必ず証拠を添えます。少額訴訟では即時取調べ可能な証拠に限られるため(民事訴訟法第371条)、書面で出せる証拠をすべて答弁書の段階で提出することが重要です。代表的な証拠としては、契約書、領収書、銀行振込明細、LINEやメールのスクリーンショット、手書きのメモや記録、写真などがあります。

証拠書類には「乙第1号証」「乙第2号証」と番号を振り、答弁書の中で「乙第1号証として契約書を提出する」と明示します。原告が出した証拠は「甲第〇号証」、被告が出す証拠は「乙第〇号証」と区別するのが民事訴訟のルールです。

通常訴訟移行の判断基準|移行すべきか、少額訴訟で決着すべきか


通常訴訟への移行判断基準 メリットデメリット比較

結論

通常訴訟移行は争点が複雑で丁寧な審理が必要な場合に有効。ただし解決までに数か月かかり、弁護士費用の負担も増える。メリット・デメリットを比較して判断。

通常訴訟に移行するメリット

池袋中央法律事務所の弁護士解説では、少額訴訟の「審理は1回限り」というメリットが逆にデメリットになるケースが指摘されています。予想していなかった主張や証拠を相手から出された場合、1回の期日ですべて決まってしまうため、動揺や困惑の中で不利な結論が出されかねないのです。通常訴訟に移行することで、次のようなメリットが得られます。

通常訴訟移行のメリット
①審理期間が延びる:複数回の期日で主張・証拠を出し合えるため、慌てずに反論を組み立てられる。
②書面で主張できる:準備書面を出しながら段階的に争えるため、弁護士と相談する時間が確保できる。
③反訴が可能:被告から原告への逆請求(反訴)ができるようになる。
④控訴できる:第一審判決に不服があれば、地方裁判所に控訴できる(通常訴訟に移行した後の判決なので)。
⑤和解協議の余地が広がる:複数回の期日で裁判官の和解勧試が入りやすい。

通常訴訟に移行するデメリット

一方、通常訴訟への移行にはデメリットもあります。解決までに数か月から1年以上かかることもあり、精神的な負担が長期間続きます。また、裁判所に足を運ぶ回数が増え、働いている人には日程調整の負担が大きくなります。複雑な争点を争う場合は、弁護士に依頼するのが現実的ですが、弁護士費用(着手金10万円〜20万円程度、成功報酬10〜20%など)が追加でかかります。

⚠️

通常訴訟移行のデメリット
①解決までの期間が数か月〜1年以上
②裁判所に通う回数が増える(3〜5回以上が通常)
③弁護士費用がかさむ可能性(請求額に対して費用倒れになるリスク)
④精神的負担が長引く
⑤結果として少額訴訟と同じ判決になるケースもある(結論が変わらないのに時間と費用だけ消費)

移行すべきケース・少額訴訟で決着すべきケース

判断の基準は「争点の複雑さ」と「勝てる見込み」のバランスです。次のような判断軸で考えると整理しやすくなります。

通常訴訟に移行すべきケース:①請求額が50万円〜60万円近くで、敗訴ダメージが大きい ②契約書の解釈や事実認定に重大な争いがある ③反訴したい事情がある ④控訴できる可能性を残したい ⑤相手が弁護士を立てている(対抗上、こちらも十分な審理を求める必要がある)

少額訴訟で決着すべきケース:①請求額が10万円〜30万円程度で、時間をかけるより早期解決が優先 ②事実関係が単純で、書面の証拠ですぐに決着できる ③分割払い・支払猶予の判決を引き出して現実的な落としどころを探りたい ④弁護士費用をかけるより本人で対応したい

少額訴訟の実際の事例|敷金・貸金・給料未払いの判決傾向


少額訴訟の実際の事例 敷金返還 貸金返還 給料未払い 判決傾向

結論

少額訴訟は原告勝訴率90%超と言われるが、被告が適切に反論すれば事実認定が変わるケースも多い。実例を知ることで、自分の事案の落としどころが見えてくる。

事例①:敷金返還請求(賃借人が勝訴・和解多数)

国土交通政策研究所の調査によれば、東京簡易裁判所における少額訴訟の敷金返還請求事件は、少額訴訟事件全体の約10〜11%を占めており、毎年400件超が係属しています。興味深いのは「終局件数の6割前後が和解で解決」(2008年「少額訴訟の実務」酒井書店)という点です。事件の性質上、100対0の結論になりにくく、原状回復の範囲や金額について落としどころを探る形で決着するケースが多いことが分かります。

三井住友トラスト不動産のコラムでも紹介されている典型例として、あるマンションオーナー(被告)が退去した入居者から32万円の敷金返還訴訟を起こされた事案があります。オーナー側にはクリーニング費用負担の特約と、破損設備の原状回復費用という反論根拠がありました。弁護士に相談した上で適切な答弁書と証拠を準備することで、丸ごと返還ではなく一定の控除を認める判決や和解に持ち込むことが可能になります。

事例②:貸金返還請求(債務者が無視して敗訴→差押え)

新銀座法律事務所の実務解説では、20万円の敷金返還訴訟で原告が勝訴し、被告が判決に応じなければ少額訴訟債権執行により差押えに進むケースが紹介されています。また弁護士ドットコムには「少額訴訟で被告が欠席し、文書もなく原告勝訴→仮執行で相手が更に無視するなら強制執行できる」という実体験に基づく相談が多数寄せられています。

典型的なパターンは次の通りです。原告が被告に20万円を貸したが返済されず、内容証明郵便も無視された。原告は少額訴訟を提起。被告は訴状を受け取ったが「面倒だから」「払う気がない」という理由で答弁書も出さず、期日にも出廷しなかった。擬制自白により原告の請求が全面的に認められる判決が出て、仮執行宣言付きで即日判決。被告が2週間以内に異議申立てもしなかったため判決が確定し、原告は給与差し押さえに進んだのです。

このケースで被告が失うものは、①20万円の元本 ②遅延損害金(年3%〜5%程度) ③訴訟費用(訴状の印紙代・切手代) ④差し押さえの費用(別途加算) ⑤職場で差し押さえが発覚する社会的信用の毀損、と多岐にわたります。「面倒だから無視」が実はもっともコストの高い選択肢なのです。

事例③:給料未払い請求(元従業員が会社を訴える)

弁護士保険のエールの解説によれば、給料の未払いを巡る少額訴訟もよく利用されるケースです。「経営が厳しい」「資金繰りが改善したら」と雇い主が言い訳して給料を支払わない、退職後に精算金を払わないといったケースで、元従業員が勤務先を訴えるパターンです。この場合、会社側(被告)が答弁書を出して争わないと、ほぼ自動的に敗訴判決が出ます。

会社側にも反論の余地がある場合(例:勤怠記録がない、実際の労働時間と請求時間にズレがある、相殺すべき債権がある等)は、きちんと答弁書で主張する必要があります。一方、明らかに未払いが違法な場合は、労働基準監督署の関与を経てから少額訴訟に進むケースも多く、会社側にとっては「無視する」選択肢はほぼありません。

事例④:宅配事故の損害賠償(最高裁判例まで発展)

東京新橋法律事務所のコラムでは、宅配便の品物が破損したことを理由に荷受人(原告)が宅配会社(被告)を訴えた実例が紹介されています。請求額は少額訴訟の上限60万円。1回の期日で双方が主張・反論し、裁判所は不法行為に基づく損害賠償責任を認めて24万円の支払いを命じる仮執行付き判決を出しました。被告会社が異議申立てをしたものの、同じ簡易裁判所で再審理(認可判決)され、判決が確定。最高裁平成12年3月17日判決は「異議後の訴訟の判決に対して控訴できない」とする民訴法380条1項を合憲と判断しました。

この事例からわかるのは、少額訴訟は企業対個人の単発トラブルでも現実に機能している制度だということ、そして異議申立てを経ても控訴までは行けない点が「早期決着」の制度趣旨を表している、ということです。

事例⑤:架空請求の少額訴訟を装った詐欺(法務省注意喚起)

法務省のウェブサイトでは、身に覚えのない出会い系サイトの利用料などの支払いを求める架空請求について、督促手続や少額訴訟手続を悪用するケースに対する注意喚起が出されています。本物の裁判所手続きを装うことで、被害者に「無視すると差し押さえになる」という恐怖を煽って支払いを促す手口です。

本物の訴状であれば、必ず裁判所から「特別送達」(郵便局員が直接手渡しする封筒)で届きます。また、裁判所書記官の押印・事件番号・期日指定が明記されています。訴状らしき書類が届いたら、まずは書かれている裁判所に直接電話して本物かどうか確認すること。無視せず、確認してから動くのが鉄則です。

弁護士費用と備え|訴えられてから後悔しないために


弁護士費用と弁護士保険の仕組み 突然の訴訟への備え

結論

訴訟は「ある日突然」降ってくるもの。訴えられてから弁護士に頼ろうとしても、費用の壁で動けなくなる人が本当に多い。1日98円〜の備えで、その壁がなくなる。備えてない方が圧倒的に損をする時代です。

少額訴訟を弁護士に依頼する場合の費用目安

少額訴訟は本人でも対応できる制度とはいえ、複雑な争点がある場合や敗訴すると影響が大きい場合は弁護士に依頼することを検討する人も多くいます。少額訴訟で弁護士に依頼した場合の費用は、弁護士事務所や案件の複雑さによって異なりますが、一般的には次のような構造になります。

ℹ️

少額訴訟の弁護士費用の目安
法律相談料:30分5,000円〜10,000円(初回無料の事務所も多い)
着手金:10万円〜20万円程度(事案の複雑さによる)
成功報酬:回収額または減額幅の10〜20%程度
実費:印紙代・郵券代・交通費など数千円〜1万円程度
通常訴訟に移行した場合:期日ごとの日当・追加着手金が発生する可能性あり

例えば30万円の貸金返還請求訴訟を弁護士に依頼した場合、着手金15万円+成功報酬3万円(回収額の10%)=18万円程度の費用になることがあります。請求額と費用のバランスが悪くなりがちなのが少額訴訟の特徴で、これが「本人訴訟率の高さ」の一因にもなっています。しかしこの「費用倒れ」を恐れて本人で対応した結果、擬制自白で敗訴・差し押さえまで進むという最悪のパターンが後を絶ちません。訴えられる前に備えておくだけで、この悪循環は完全に防げます。

費用の壁|「弁護士に頼みたいが費用が心配」という悩み

相談者

30代女性

友人にお金を貸した件で少額訴訟を起こされそうです。身に覚えはありますが金額に納得がいきません。でも弁護士に頼むと費用倒れになりそうで、結局泣き寝入りするか、自分で対応してミスをするしかないのかと…。こういう時のために何か備える方法ってないんでしょうか?

工藤辰浩

工藤

その「費用の壁」を壊す仕組みが弁護士保険です。1日98円〜の負担で、いざ訴えられたときに弁護士費用の不安なく戦える状態を作れる。これは本当に大きいです。正直に言います。私は弁護士保険代理店として多くの方の相談に伴走してきましたが、「もっと早く入っておけばよかった」と後悔する人をたくさん見てきました。訴えられてからでは遅い。備えてないのは、今の時代では本当にもったいないです。

弁護士保険という選択肢|入らないともったいない理由

訴訟トラブルは、事前にいつ・誰から・どんな内容で降りかかってくるかを完全に予測することはできません。友人に貸したお金、退去時の敷金、過去の契約トラブル、交通事故、労働問題、近隣トラブル、ネット炎上による名誉毀損。いずれも普段は意識していない領域から突然「訴状」という形で現れます。「まさか自分が」と思っている人ほど、実際に訴えられたときに動けなくなります。

こうした突発的な法的トラブルへの備えが弁護士保険(弁護士費用保険)です。1日98円〜という、ペットボトル1本分にも満たない負担で、民事訴訟(少額訴訟を含む)・労働問題・離婚・相続・近隣トラブル・交通事故など、人生で起こりうる幅広い法的トラブルに対する弁護士費用の備えができます。

考えてみてください。少額訴訟で20万円請求されたとき、弁護士に頼めば着手金だけで15〜20万円かかります。費用対効果で諦めて本人訴訟に踏み切り、結果として擬制自白で敗訴するという最悪のパターンに陥る人が後を絶ちません。1日98円〜の保険料で、この「費用の壁」がなくなる。これは加入している人と加入していない人で、人生の選択肢が完全に変わってくる話です。

弁護士保険に入っておくべき理由
①訴訟は本当に突然やってくる:普段意識していないトラブルが訴状となって届く日は、誰にでも来る可能性がある。
②弁護士費用の心配なく戦える1日98円〜で、訴えられても弁護士に迷わず依頼できる体制が整う。
③少額訴訟こそ本人で対応するリスクが高い:1回の期日ですべてが決まるため、専門家のサポートがある/ないで結果が大きく変わる。
④民事トラブル全般が対象になる:少額訴訟だけでなく、離婚・労働・相続・近隣・交通事故など、人生で起こる幅広いトラブルに対応。
⑤平時から入っておくことが絶対条件:すでに起きているトラブルには使えない設計。だからこそ「今」入る意味がある。

「備えあれば憂いなし」という言葉は、法的トラブルに最も当てはまります。訴状が届いてから「弁護士保険に入っておけば…」と後悔する人は本当に多いのです。1日98円〜という負担で、この記事を読んでいるあなた自身と、家族の生活を守ることができます。入らないという選択が、いちばんもったいない。弁護士保険の相談に伴走してきた立場として、これは強くお伝えしたいことです。

PR

法的トラブルへの備えに|弁護士保険ミカタ

少額訴訟に関するよくある質問


少額訴訟 よくある質問 FAQ

Q1. 訴状を受け取ってから裁判まで、どのくらい時間がありますか?

ℹ️

通常は訴状送達から1か月〜1か月半後に第1回口頭弁論期日が指定されます。答弁書の提出期限は期日の1週間前までとされていることが多いので、訴状を受け取ったらすぐに内容を確認し、方針を決めて答弁書の準備を始めることが重要です。どうしても期日に出席できない場合は、裁判所書記官に連絡すれば期日変更の相談ができることがあります。

Q2. 答弁書を出さずに期日にも欠席すると、確実に負けますか?

⚠️

ほぼ確実に敗訴します。擬制自白により原告の主張が全面的に認められ、仮執行宣言付きの判決が即日出されるからです。訴状記載事項に明らかな不備(例:債権者と債務者が別人、完全な計算ミス等)があれば裁判所が職権で請求を棄却する可能性もゼロではありませんが、訴状は通常、原告側の弁護士や裁判所書記官のチェックを経ているため、不備で弾かれるケースはまれです。答弁書だけでも必ず出すことを強くおすすめします。

Q3. 出廷時間は平日の昼間だけですか?仕事を休まないとダメですか?

少額訴訟の期日は原則平日の午前または午後に指定されます。半日程度の時間が必要です。どうしても仕事が休めない場合は、答弁書をしっかり書いて事前に提出しておけば、第1回期日に限り「擬制陳述」が認められ、出廷しなくても答弁書の内容を陳述したものとして扱われます。ただし、出廷しないと和解協議や裁判官の質問に対応できないため、できる限り時間を作って出廷することが望ましいです。

Q4. 一括で払えない場合、分割にしてもらうことはできますか?

ℹ️

可能性はあります。民事訴訟法第375条は、少額訴訟で原告の請求を認める判決をする際、被告の資力その他の事情を考慮して、3年を超えない範囲で分割払い・支払猶予・遅延損害金免除を命じることができると定めています。経済的に厳しい場合は、答弁書でその事情を説明し、期日で裁判官に分割払いを希望する旨を伝えましょう。ただし、この判決部分に対しては原告側・被告側とも不服申立てはできません。

Q5. 異議申立てをした後、さらに不服なら控訴できますか?

⚠️

原則として控訴はできません。民事訴訟法第380条1項により、少額訴訟の判決に対する異議後の訴訟判決(認可判決または取消判決)に対しても控訴は禁じられています。この点は最高裁平成12年3月17日判決で合憲と判断されています。したがって、少額訴訟では事実上「異議申立て1回が最終戦」となるため、1回の期日で勝負をつけるつもりで十分な準備をすることが重要です。

Q6. 身に覚えのない訴状が届きました。架空請求かもしれません。どうすれば?

ℹ️

法務省が注意喚起しているように、少額訴訟や支払督促を装った架空請求詐欺があります。本物の裁判所からの訴状は必ず「特別送達」で届き、裁判所書記官の押印・事件番号・期日指定が明記されています。送達方法や書式に違和感がある場合は、訴状に書かれた裁判所に直接電話で問い合わせて、事件番号と原告名を告げれば本物かどうか確認できます。もし本物なら絶対に放置せず、身に覚えがなくても答弁書で「原告の主張する事実はすべて否認する」と明確に争う姿勢を示すことが必要です。

PR

安心してください。あなたには頼れるミカタがついています。|弁護士保険ミカタ

📋 SUMMARY

この記事のポイント

  1. 少額訴訟は拒否できる(民訴法373条1項)。通常訴訟移行陳述書を第1回口頭弁論期日の弁論前までに出せばよい。
  2. ただし「拒否」と「無視」は別物。何もせず放置すると擬制自白が成立し、原告の請求がそのまま認められる判決が出る。
  3. 少額訴訟判決には仮執行宣言が付く(民訴法376条1項)。判決確定を待たずに強制執行(給与・預金・不動産の差押え)が可能。
  4. 答弁書は訴えられた側の最重要アクション。出廷できなくても擬制陳述で答弁書の内容を陳述したものとみなしてもらえる。
  5. 判決に不服があれば2週間以内に異議申立て(民訴法378条1項)。異議後の再審理で認可または取消判決が出る。控訴はできない。
  6. 分割払い・支払猶予判決は可能(民訴法375条)。3年を超えない範囲で、被告の資力に応じた柔軟な判決が出される場合がある。
  7. 敷金・貸金・給料未払い・売掛金の事案が多い。原告勝訴率は高いが、適切な答弁書と証拠で和解や分割に持ち込めるケースも多数。
  8. 平時からの備えが選択肢を広げる。弁護士費用保険は加入後すぐのトラブルには使えない設計だが、将来の法的トラブルへの備えとして検討する価値はある。

🔗 あわせて読みたい(借金・詐欺トラブル関連)

主な引用元法務省「少額訴訟手続について」法務省「督促手続・少額訴訟手続を悪用した架空請求にご注意ください」裁判所「少額訴訟」裁判所「敷金返還請求書式」、民事訴訟法第368条〜第381条、最高裁平成12年3月17日判決、ベリーベスト法律事務所「債権回収における裁判」ベンナビ債権回収「少額訴訟の5つのデメリット」よつば総合法律事務所「少額訴訟とは」東京新橋法律事務所「少額訴訟手続き」国土交通政策研究所「賃貸住宅の原状回復紛争に係る少額訴訟事例調査研究」、池袋中央法律事務所、フィオルーナ司法書士事務所、ベリーベスト法律事務所川崎オフィス 各コラム

工藤辰浩
執筆者

工藤 辰浩

リーガルベスト代表 / 弁護士保険ミカタ正規代理店

リクルート在籍中に「世の中の負を解決したい」という想いを抱き、2017年に東京で弁護士保険代理店リーガルベストを創業。以来8年間で400名以上のお客様の弁護士保険相談に伴走。多くの弁護士セミナーへの参加、30名以上の弁護士との交流を通じて培った知見をmomegoto.jpで発信しています。監修弁護士様も募集中です。お気軽にお問い合わせください。

免責事項
本記事は一般的な法律情報の提供および弁護士保険代理店としての知見共有という位置づけであり、特定の法的助言を構成するものではありません。個別の事案に関する法的判断が必要な場合は弁護士にご相談ください。記事内容は2026年4月時点の公開情報・判例・条文に基づいており、今後の法改正・新たな判例により内容が変更される場合があります。将来の法的トラブルに備える選択肢として、弁護士保険の加入を強くおすすめします。

← 前の記事スターダストプロモーションが誹謗中傷・迷惑行為に注意喚起|SNSコメントで問われる法的責任を徹底解説次の記事 →別居中の浮気は違法?慰謝料は取れる?証拠の集め方・弁護士への伝え方・子供がいる場合を完全解説【2026年最新】