👤 こんな方に読んでほしい記事です
- 自宅のルーターやスマホ、防犯カメラが中国製で、ニュースを見て急に不安になった方
- DeepSeekやTikTokを普段使っているが、本当に安全なのか知りたい方
- 「中国製は危ない」とは聞くけれど、具体的に何が起きているのか知りたい方
- 自分や家族の情報を守るために、今日から何をすればいいか知りたい方
- 万が一被害に遭ったとき、どこに相談しどう戦えばいいか備えておきたい方
いつも使っているスマホのキーボード入力が、知らないうちに中国のサーバーに送られているとしたら。自宅のWi-Fiルーターが、ハッカーの踏み台にされて米軍の施設を攻撃していたとしたら。あなたはそのことに気づけるでしょうか。
2026年4月、読売新聞は総務省が2027年夏から自治体のIT機器調達を政府認定品に限定する方針を固めたと報じました。背景にあるのは、中国製品による個人情報窃取やサイバー攻撃への強い危機感です。同じ懸念は一般家庭や中小企業にも当てはまります。
この記事では、実際に発覚した情報漏洩の具体例、米国がファーウェイやTP-Linkに対して下した処罰、日本国内で起きた中国子会社経由の個人情報アクセス事件、そして個人ができる現実的な防衛策までを、一次情報ベースで整理しました。陰謀論でも、中国嫌悪でもなく、実際に確認されている事実を土台に、自分の身を守るための判断材料をお届けします。
この記事でわかること
- ✓実際に発覚した中国製IT機器の情報漏洩・バックドア事例(ADUPS・ハイクビジョン・TP-Link等)
- ✓米国での処罰事例(3億ドル制裁・エンティティリスト・TikTok禁止法)の全容
- ✓日本のLINE事件・政府対応と、個人情報保護法で問える責任
- ✓家庭や個人が今日からできる10の防衛ステップ
- ✓被害に遭ったときの相談窓口・法的手段・備えの選択肢
なぜ今「中国製IT機器」が世界的に問題視されているのか

中国には「国家情報法」という、いかなる組織・個人も国の情報活動に協力する義務を定めた法律が存在する。これにより中国企業は政府の要請があれば、保有する個人データを政府へ提供しなければならない構造になっている。これが世界中の政府が中国製IT機器を警戒する最大の理由。
きっかけは2017年施行の「中華人民共和国国家情報法」
問題の出発点は、2017年6月27日に公布された「中華人民共和国国家情報法」という法律です。国立国会図書館調査及び立法考査局の解説資料によれば、この法律の第7条には「いかなる組織・個人も、法に基づき国の情報活動に協力し、国の情報活動に関する秘密を守る義務を有する」と明記されています。
また第14条では、国家情報機関は関係する機関・組織・個人に対して必要な支援・協力を求めることができると規定されています。これは中国国内にある企業だけでなく、中国籍の個人にも適用されます。つまり、外国に住む中国人でも、中国の情報機関から協力を求められた場合、拒否できないという構造になっているのです。
さらにその前段階として、2010年施行の「国防動員法」があります。これは有事の際、18歳から60歳の中国人男性・18歳から55歳の中国人女性は、国内外を問わず国防動員の命令に従う義務を負うという内容です。加えて2023年改正の「反スパイ法」では、当局が「国家の安全に危害を及ぼす行為」と認定すれば、広く処罰の対象となる仕組みが整備されました。
なぜ問題なのか
この法律構造のもとでは、中国のどんな大企業も、政府から「お前の持っているユーザーデータを寄こせ」と言われたら拒めません。たとえその企業のCEOが「うちはデータを渡していません」と公言していても、法律上は渡さざるを得ない立場にあるのです。これが「中国企業は技術的に優秀でも、信用できない」という世界的警戒の根拠となっています。
日本政府・自治体もついに動き出した(2027年夏から認定品限定)
2026年4月17日の読売新聞は、総務省が全国の地方自治体に対し、政府の評価制度で認定されたIT機器のみを調達するよう義務づける方針を固めたと報じました。複数の政府関係者が明らかにしたこの方針は、2027年夏を目処に省令改正を進めるものです。
ここで言う「政府評価制度」が、経済産業省とIPAが2025年3月25日から運用を開始した「JC-STAR」(セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度)です。経済産業省の公式発表によれば、この制度は共通的な物差しでIoT製品のセキュリティ機能を評価・可視化し、求めるセキュリティ水準の製品を容易に選択できるようにすることを目的としています。
2024年7月に改定された「政府機関等の対策基準策定のためのガイドライン」には、「2025年度中に☆1以上の取得を機器等の選定基準に含める」方針が明記されました。ネットワークカメラと通信機器については、2026年1月以降に★2以上の申請受付も開始される予定です。つまり、政府・自治体は数年以内に「認定されていない機器は買えない」世界に移行するということです。
2027年夏
自治体IT機器調達の
認定品限定化が本格始動
約263万回
台湾が2025年に受けた
中国からの1日平均サイバー攻撃
7億台
ADUPSバックドアが
仕込まれたとされるスマホ推計出荷数
40代男性
正直、政府や軍の話でしょ?一般人の家庭用ルーターやスマホのアプリで、本当にそこまで心配する必要あるんですか?
工藤
その感覚、実はとても危ういんです。中国政府が狙うハッカーは、家庭用ルーターを踏み台にして軍や企業を攻撃します。つまり、あなたのルーターが乗っ取られれば、あなたは被害者であると同時に、加害の「踏み台」にされる可能性があります。加害側にされると、損害賠償の話に巻き込まれるリスクまで生まれます。
実際に発覚した情報漏洩・バックドア事例を時系列で見る

中国製IT機器の情報窃取・バックドア事例は、2016年のADUPS事件から2025年のDeepSeek送信機能まで、10年近く繰り返し発覚している。個別製品の問題ではなく、業界構造の問題と見るべき段階に来ている。
2016年:ADUPS事件──7億台のスマホが3日に1回、中国へデータ送信
すべての発端と呼ばれるのが、2016年11月15日にセキュリティ解析企業Kryptowireが発表した事件です。国立国会図書館調査及び立法考査局の「外国の立法」誌でも取り上げられたこの事件では、中国の「上海アドアップテクノロジー(Shanghai ADUPS Technology)」が開発したファームウェアを搭載したスマートフォンが、ユーザーの位置情報・通話履歴・連絡先・テキストメッセージを収集し、72時間おき(3日に1回)に中国のサーバーへ送信していたことが判明しました。
問題の重さは、ADUPSのファームウェアを採用していたメーカーが多岐にわたっていたことです。ファーウェイ、ZTE、ブラックベリーなどの主要メーカーが採用しており、出荷数は推計で7億台にのぼるとされました。ADUPSは声明で情報収集を認めたうえで、「正しいアップデート提供と、迷惑メール対策のため」と説明しましたが、この説明でユーザーを納得させることはできませんでした。
2018年:ハイクビジョン・ダーファなど中国製監視カメラの排除
監視カメラの世界最大手、中国の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)も、繰り返し問題視されてきました。MIT Technology Reviewの記事によれば、同社は中国政府の治安維持プロジェクト「スカイネット」「シャープアイズ」で主要な役割を担っており、中国政府との関係が極めて密接な企業です。
米国では2018年、国防権限法(NDAA)でハイクビジョンとダーファテクノロジーの製品が政府機関で禁止されました。さらに米財務省は、特別指定国民および資格停止者(SDN)リストへの追加まで検討したとされ、これは北朝鮮やイラン向けに通常使われる最も厳しい制裁です。オーストラリア、英国、ブラジル、EU諸国でも、中国製監視カメラの政府施設からの撤去が相次ぎました。
日本ではどうなっているか
日本では2023年3月、参議院に「中国製監視カメラの規制に関する質問主意書」が提出されています。ただし現時点で、一般市場での販売禁止措置は取られていません。ホームセンターや家電量販店で、一般消費者が中国製の監視カメラを普通に購入できる状態です。家の玄関やリビングに設置したカメラが、意図しない通信を行っていないかは、利用者自身が確認する必要があります。
2023年以降:TP-Linkルーター問題とVolt Typhoon作戦
家庭用Wi-Fiルーターの世界最大手、TP-Linkをめぐる問題は深刻です。ロケットボーイズ「セキュリティ対策Lab」やGIGAZINEの報道を総合すると、事態は次のように展開しました。
2023年5月、Microsoftは中国政府系ハッカー集団「Volt Typhoon(ボルトタイフーン)」が、家庭用・小規模オフィス用のTP-Linkルーターの脆弱性を踏み台として、米国の重要インフラ(通信・エネルギー・水)へ侵入していると発表しました。2024年8月には米下院の超党派委員会が商務長官にTP-Linkの調査を要請する書簡を送付。2024年11月、Microsoftはさらに中国政府支援のハッカー集団がTP-Link製ルーター約8,000台以上を乗っ取り、Microsoft Azureに大規模攻撃を仕掛けていたと警告しました。
2024年12月には米商務省・国防総省・司法省がそれぞれTP-Linkに対する調査を開始。米国下院では2025年3月、中国製ルーター(特にTP-Link)を家庭から撤去するよう国民に呼びかける勧告まで出ました。米国のSOHO向けルーター市場の約65%というシェアを誇るTP-Linkは、現在、分社化や本社の米国移転を進めて信頼回復を図っていますが、Bloombergは「分社化後も事業の多くを中国に依存している」と指摘しています。
2025年:DeepSeek──AIチャットの入力が中国政府サーバーへ?
2025年1月、生成AI「DeepSeek」が世界中で爆発的人気となった直後、セキュリティ企業Feroot Securityが衝撃的な分析を公表しました。ABCニュースの2025年2月5日の報道や、同社CEOの分析によれば、DeepSeekの一部コードには、中国政府が所有・運営する通信会社「China Mobile」運営サイト「CMPassport.com」にユーザーデータを送信する可能性のある機能が含まれていたとされています。
また、DeepSeekのプライバシーポリシーには「ユーザーデータは中国国内のサーバに保存する」と明記されており、利用規約第9条では「中華人民共和国の法律に準拠する」と規定されています。これはつまり、先述の国家情報法・データセキュリティ法などの対象になるということです。
これを受けて日本政府は2025年2月、デジタル庁が「DeepSeek等の生成AIの業務利用に関する注意喚起」を公表。平デジタル大臣(当時)も沖縄県名護市での講演で「懸念が解消されるまでは、公務員による利用は控えるべき」と発言しました。イタリアは全国民向けの利用を制限、台湾・韓国は公的機関での使用を禁止。米海軍・NASAも職員に利用しないよう指示しました。
2020〜2025年:Xiaomiのブラウザデータ暗号化なし問題・BLU社製スマホ事件
個別事例も挙げきれないほどあります。2020年にはXiaomi(シャオミ)のスマートフォンが、ユーザーのウェブ閲覧履歴を暗号化せずに収集していたことが発覚。2016年にはBLU社のスマホに上海ADUPS製ファームウェアが組み込まれ、SMSや通話履歴が中国のサーバーに送信されていました。2022年にはセキュリティ企業Kasperskyが、中国製スマホの一部に削除できないマルウェアがプリインストールされていたと報告しています。
アメリカではどこまで処罰されたか──3億ドル罰金・エンティティリスト・TikTok禁止法

米国は中国製品に対して3億ドル(約450億円)の過去最高額制裁、エンティティリスト掲載、TikTok禁止法制定、SDNリスト検討まで、あらゆる手段で規制を強化してきた。これは「中国製品が危険」という前提で国家レベルの対応を取っている証拠。
シーゲイトへの3億ドル罰金──米国企業でも容赦なく処罰
ジェトロの2023年4月の報道によれば、米国商務省産業安全保障局(BIS)は2023年4月19日、米国企業のシーゲイト・テクノロジー(HDDメーカー)に対し、ファーウェイ向けの輸出管理規則(EAR)に違反したとして3億ドル(約450億円)の罰金を科しました。これはBISが執行した個別案件としては過去最高額です。
シーゲイトはBISの許可なく、740万個を超えるHDDをファーウェイに納入していたとされます。BIS次官補は声明で「ファーウェイが米国の安全保障に反する行為を理由にエンティティリストに掲載された後にもかかわらず、競合企業が販売停止したにもかかわらず、シーゲイトはHDDを納入し続けた」と糾弾しました。つまり、中国企業を相手に商売した米国企業ですら、日本円で450億円規模の罰金を取られる。これが米国の姿勢です。
ファーウェイ・ZTEへのエンティティリスト掲載
ファーウェイは2019年5月以降、BISが管理する「エンティティリスト」に掲載されました。これにより米国製品(物品・ソフトウェア・技術)のファーウェイへの輸出・再輸出が原則禁止になります。2020年5月には「外国直接製品(FDP)ルール」が拡大され、米国外で製造された製品でも、米国の技術・ソフトウェアが使われていれば輸出にBISの許可が必要となりました。
さらに2022年11月、バイデン政権はファーウェイの通信機器について米国内での販売そのものを事実上禁止。FCC(連邦通信委員会)の認証対象からファーウェイを外し、米国市場から締め出しました。米国の通信会社4社(Verizon・AT&T・T-Mobile・USセルラー)は、それ以前から5G基地局でファーウェイ製品を採用していません。日本でも2018年12月、政府調達からファーウェイ・ZTE製品を事実上排除する方針が打ち出されました。
TikTok禁止法──2025年1月発効
米国では2024年4月、議会がTikTok禁止法を可決。2025年1月19日に発効しました。この法律は、中国の親会社バイトダンスが米国内事業を売却しなければアプリの利用を禁止するという内容です。TikTok側は連邦最高裁判所に緊急差し止め命令を申し立てましたが、最終的に大きな規制の枠組みは維持されました。
禁止の理由として米国政府が繰り返し主張してきたのは、2023年に報道された「TikTokが米国の記者の位置情報を不正追跡していた」という事案や、ユーザーの広範なデータ収集に対する本社アクセス懸念です。TikTokは世界の利用者10億人超、米国内だけでも1.7億人を抱える巨大アプリですが、国家安全保障の観点から規制対象となりました。
Sichuan Juxinhe──中国企業への直接制裁
2025年1月17日、米国財務省外国資産管理局(OFAC)は、四川省に拠点を置くサイバーセキュリティ企業「Sichuan Juxinhe Network Technology」に制裁を科しました。OFACは、同社が米国の通信・インターネットサービス事業者企業の搾取に直接関与し、中国国家安全部(MSS)と強い関係を維持していたと認定しています。
ここで確認しておきたいこと
米国は民間・官公庁・軍・企業を巻き込んで、あらゆる手段で中国製品を締め出してきました。これは単なる貿易摩擦ではなく、「中国製品を使うと情報が抜かれる」というリスク評価のもと、10年以上かけて積み上げてきた国家戦略です。日本はこの流れから大きく遅れており、一般消費者レベルでは規制が追いついていません。
30代女性
じゃあ、日本でも中国企業に対して訴訟を起こしたり、罰金を取ったりできるんでしょうか?普通の個人が被害を受けた場合はどうなるんですか?
工藤
大事なポイントですね。日本でも個人情報保護法の越境移転規制(28条)と、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)で戦う道はあります。ただし、中国企業を相手取った個人訴訟は極めてハードルが高いのが現実です。次の章で、日本の法制度と実際の事例を整理しましょう。
日本では中国製品トラブルをどう扱うのか──個人情報保護法と損害賠償の現実

日本にも個人情報保護法・不正アクセス禁止法・民法709条という戦う武器はある。実際LINE事件では行政指導が入り、東京地裁は情報漏洩企業に対し1人1万円の損害賠償を命じた判例もある。ただし中国本国の企業を相手取るのは国際訴訟となり極めて困難。
LINE事件(2021年)──中国委託先が日本人の個人情報にアクセス可能だった
日本で最も社会的衝撃が大きかった事例は、2021年3月のLINE事件です。BUSINESS LAWYERSやITmedia NEWSの報道を総合すると、事件の概要はこうです。
LINE株式会社は、中国所在の孫会社「LINE Digital Technology (Shanghai) Limited(通称LINE China)」に対し、LINEアプリ機能の一部開発業務を委託していました。その過程で、日本ユーザーのトーク上のテキスト・画像・動画、問い合わせフォーム情報へのアクセス権限が同社に付与されていました。個人情報保護法上、中国は保護水準が日本と同等とは認められていないため、本人同意なくアクセス可能にした状態は越境移転規制違反の疑いが生じました。
事態を受けて2021年3月19日、総務省はLINEの行政サービスを停止したうえで全国自治体に利用状況調査を要請。個人情報保護委員会もLINE株式会社に対する報告徴収を実施しました。LINEは4月、以下8つの対策を発表しています。
LINEの対応策(一部)
① 中国からの日本ユーザーへの完全アクセス遮断、業務委託の終了(2021年実施済み)
② 画像・動画などのトークデータの国内移転(2021年6月までに完了)
③ プライバシーポリシーで国名・目的を明示
④ 政府・自治体向けLINE公式アカウントのデータ保管・アクセスの完全国内化(2021年8月までに移転)
⑤ データ・セキュリティのガバナンス体制と情報保護の強化
この事件が示したのは、「日本国内でサービスを使っているつもりでも、開発・運用の裏側で中国企業がアクセスできる状態になっている可能性がある」という現実です。そして、そうした状態を放置することは、日本の個人情報保護法違反のリスクがあるということも明確になりました。
日本の個人情報保護法──越境移転規制と最大1億円の課徴金
個人情報保護法第28条(越境移転規制)は、外国にある第三者に個人データを提供する場合、本人から同意を得るなど一定の手続きが必要と定めています。対象となる「外国」には、日本と同等の保護水準を持つEU・英国などは除かれますが、中国は含まれていません。
違反した場合の制裁は、情報漏洩対策の解説サイトによれば以下の通りです。
- 行政処分:個人情報保護委員会による勧告・命令。命令違反は最大1億円の課徴金
- 刑事罰:法人に対する罰金として最大1億円
- 報告義務違反:72時間以内の速報、60日以内の確報が必要。違反時は50万円以下の罰金
- 民事賠償:漏洩情報により1人あたり500円〜30,000円。1万人分漏洩で数千万〜数億円規模
実際の判例として、東京地裁平成26年判決では、SQLインジェクション攻撃により顧客情報が流出した企業に対し、「基本的なセキュリティ対策を怠っていた」として、顧客1人あたり1万円の損害賠償が命じられました。WAF(Webアプリケーションファイアウォール)の導入など基本対策を取っていれば防げた事故として、企業の過失が認定された重要判例です。
不正アクセス禁止法──3年以下の懲役または100万円以下の罰金
中国政府系ハッカー集団が、TP-Linkルーターを踏み台にあなたの端末に侵入した場合、日本の不正アクセス禁止法違反となります。総務省のサイバーセキュリティサイトによれば、同法3条は「何人も、不正アクセス行為をしてはならない」と定めており、違反すれば3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
ただし問題は、攻撃者が中国国内にいる場合、日本の警察がその身柄を拘束することは事実上不可能という点です。国際協力による捜査を進めるしかありませんが、中国は西側諸国とのサイバー犯罪引渡し条約を結んでいないため、実効的な処罰には至らないケースが大半です。
民法709条の不法行為──中国企業に対する訴訟のハードル
個人が中国企業に対して損害賠償を請求する場合、民法709条(不法行為)に基づく請求が基本となります。しかし実際には、次のような困難が立ちはだかります。
中国企業相手の個人訴訟が難しい理由
① 中国本社に訴状を送達する国際訴訟手続きが煩雑
② 被害と中国企業の行為の因果関係を個人で立証するのが困難
③ 勝訴判決を得ても、中国で強制執行できない可能性が高い
④ 中国子会社や日本法人が別法人で、責任追及の糸口が限られる
⑤ 弁護士費用が高額になり、個人では採算が合わないケースが多い
現実的な選択肢は、中国企業そのものではなく、その製品・サービスを日本で販売している日本法人や、製品を使ったサービス提供者(先のLINE事件のLINE株式会社のような立場)を相手取ることです。この場合でも、損害と義務違反の立証は必要ですが、国内訴訟の枠組みで戦えます。
中国系国家支援ハッカーは何を狙っているか──Volt Typhoon・Salt Typhoonの実像

中国系ハッカー集団「Salt Typhoon」は米国の通信事業者9社以上・80ヶ国以上に侵入、「ほぼ全米の個人情報が盗まれた可能性」とFBIが2025年8月に警告した。大統領候補・選挙スタッフの携帯電話まで標的にされた、国家規模のサイバースパイ事件が進行している。
Volt Typhoon(ボルトタイフーン)──家庭用ルーターを踏み台に重要インフラへ
Volt Typhoonは、中国政府支援のハッカー集団として2023年5月にMicrosoftが公表し、大きな注目を浴びました。JPCERT/CC(Japan Computer Emergency Response Team Coordination Center)の分析によれば、主な活動目的は政府機関や重要インフラ企業への将来の再侵入に備えた「侵入方法の開拓」であり、具体的にはNTDSファイル(Windowsドメインコントローラの認証情報データベース)の窃取などが活動の中心です。
特に問題視されたのは、Volt TyphoonがSOHOや一般家庭に設置されていたルーター(TP-Link製品を含む)を踏み台として、グアムの米国政府関連施設や軍事施設へ侵入していたという事実です。つまり、普通の家庭のWi-Fiルーターが知らない間に攻撃の加害側に使われていたということです。
2024年2月には、日本国内の複数の組織でもVolt Typhoonによる侵害活動の痕跡が確認されたと公式発表されています。日本の重要インフラも既に脅威の対象となっている実態が明らかです。
Salt Typhoon(ソルトタイフーン)──米通信事業者9社以上に長期潜入
2024年秋に発見されたSalt Typhoonは、前例のない規模の攻撃として報道されています。ロケットボーイズ「セキュリティ対策Lab」やVectra AIの分析、Recorded FutureのInsikt Groupレポートを総合すると、次のような事実が判明しています。
Salt Typhoonの被害の広がり
① Verizon・AT&T・Lumen Technologiesなど米大手通信9社以上に侵入
② 2023〜2024年、米政府・重要インフラ約70機関から1,462件のネットワーク構成ファイル窃取
③ 米国の合法的傍受システム(法執行機関の裁判所許可盗聴)に直接アクセス
④ トランプ氏・バンス氏(2024年選挙)の携帯電話、ハリス氏選挙スタッフ・国務省関係者の通信を標的
⑤ 2025年7月、米州兵ネットワークに侵入、広範な通信情報を窃取
⑥ 2025年8月27日、FBIサイバー部門次官補「ほぼすべての米国人から何らかの情報が盗まれた可能性」と発表
⑦ 被害地域は80ヶ国以上に及び、日本警察庁・国家サイバーセキュリティセンターも2025年8月に国際共同アドバイザリーに署名
日本の重要インフラへの警戒も現実のものに
2025年8月27日、日本の警察庁と国家サイバーセキュリティセンターは、米国や英国など12ヶ国と共同でSalt Typhoonに関するアドバイザリーを発表しました。これは日本が正式に、中国系国家支援ハッカーを脅威として国際的に認定したということを意味します。
台湾の国家安全局は2026年1月、2025年の中国からのサイバー攻撃が1日平均約263万回に達したと発表しました。2023年の123万回、2024年の246万回から一貫して増加しており、国家レベルのサイバー戦争が既に進行中である状態です。日本も例外ではありません。
身の回りの中国製品チェックリスト──家庭にあるかもしれない危険機器

Wi-Fiルーター・防犯カメラ・スマホ・AIアプリ・通販アプリ・家電・太陽光発電まで、家庭にある中国系製品・サービスは驚くほど多い。自分が何を使っているかを棚卸しすることが、防衛の第一歩。
Wi-Fiルーター──まず確認すべきカテゴリー
ロケットボーイズの報告によれば、日本国内で販売されているWi-Fi 6Eルーターの約48.9%、Wi-Fi 7ルーターでは約69.1%がTP-Link製とされています(時点による)。メッシュWi-Fi市場でも同社は強力なシェアを持っています。また、中国系のメーカーとしては、ファーウェイ(スマートホームルーター等)、ZTEなども挙げられます。国内代替としては、バッファロー、NEC(Aterm)、エレコム、IODATAなどの国内メーカーが存在します。
スマートフォン──中国系ブランドの見分け方
中国系スマートフォンメーカーとしては、ファーウェイ(HUAWEI)、Xiaomi(シャオミ)、OPPO、Vivo、Realme、OnePlus、Redmi、HONOR(元ファーウェイ子会社)、ZTEなどがあります。Lenovoは中国企業ですが、モトローラを傘下に持ち、さらに日本のNEC・富士通のPC事業をOEM生産しています。つまり、「日本ブランドのPC」を買ったつもりでも、実体はLenovo製という場合がかなりあります。
監視カメラ・ネットワークカメラ──家電量販店でも中国製が主流
ハイクビジョン、ダーファ(Dahua)、TP-Link(Tapo・Kasaブランドを含むPCカメラ市場で日本国内2024年度シェア65.1%)、その他多数の中国ブランドが家電量販店やAmazonで普通に販売されています。GIGAZINEの報道によれば、「シャープのネットワークカメラもOEM元を調べるとハイクビジョン製だった」という指摘も出ており、ブランド名だけでは見分けがつかないのが現状です。
AIアプリ・生成AI──DeepSeek・Kimi・Baidu系
DeepSeek(深度求索)、Kimi(月之暗面)、Baidu(百度)系のAIチャットなど、中国系生成AIの利用が日本国内でも急増しています。便利ですが、入力した内容が中国のサーバーに保存される可能性を理解したうえで使う必要があります。企業の機密情報・個人の健康情報・金融情報・クリエイティブな成果物などを入力するのは避けるのが無難です。
EC・通販アプリ・SNS──Temu・SHEIN・TikTok
Temu(PDDホールディングス=拼多多)、SHEIN、TikTok(ByteDance)は、いずれも中国系アプリです。noteの解説記事によれば、これらのアプリは連絡先・GPS・端末識別子などの広範なデータ収集懸念が米国でも繰り返し指摘されてきました。過度に情報を抜かれないよう、アプリの権限設定を必要最小限にすることが推奨されています。
太陽光発電インバーター──エネルギー網のブラックボックス
2025年5月、ロイター通信は、中国製の太陽光発電インバーターに製品仕様書に記載のない通信機器(セルラーモデムなど)が組み込まれていた事例が、最近9ヶ月間に複数の中国企業製品から見つかったと報じました。米エネルギー省も調査を継続中です。住宅用太陽光パネルの日本市場は長州産業・ハンファジャパン・カナディアンソーラーなど非中国系が強く、中国勢のパネル自体に出会う可能性は低いとされますが、インバーターや蓄電池は別経路の機器も使われるため、設置時には確認が必要です。
50代男性
全部中国製を排除するのは現実的に無理ですよね。何を基準に使う・使わないを判断すればいいんでしょうか?
工藤
完全排除は非現実的です。考え方として「重要度の高い情報を扱う機器ほど慎重に選ぶ」というのが筋です。オンライン銀行・仕事の機密・子供の情報を扱う端末は優先的に国産や信頼できるメーカーに。娯楽・消費だけの端末は許容範囲を広げる、という判断軸です。次の章で具体的な防衛10ステップをお伝えします。
今日からできる防衛10ステップ──一般家庭・個人が取るべき具体策

防衛の基本は「見えない機能」を使わせないこと。ファームウェア更新・権限最小化・クラウド連携の見直し・アプリ整理の4つを徹底すれば、多くのリスクは大幅に下げられる。
ステップ①:自宅のルーター・カメラのメーカーと機種を確認する
最初の一歩は「棚卸し」です。自宅のWi-Fiルーターの裏を見てメーカー名と型番を控えましょう。防犯カメラやネットワークカメラ、スマート家電も同じです。情報セキュリティの基本は、「何があるかわからない場所は守れない」という原則です。
ステップ②:ファームウェア(本体ソフトウェア)を最新にする
TP-Linkを含め、中国製であろうとなかろうと、ルーターや家電のファームウェアを最新に保つことは最低限の防御です。管理画面にログインし、自動更新設定をONにする、または定期的に手動で更新してください。脆弱性の多くは、メーカーがパッチを出しているのに、ユーザーが更新せずに放置しているケースです。
ステップ③:初期パスワードを必ず変更する
ルーターの管理画面、カメラのアクセスパスワード、IoT家電の初期設定は、必ず変更します。「admin / admin」「admin / password」など、メーカー初期値のままにしておくと、ハッカーは自動スクリプトで乗っ取り放題になります。長く複雑な独自パスワードに変更しましょう。
ステップ④:不要なクラウド連携・遠隔アクセスを無効化する
多くのIoT家電や監視カメラは、遠隔アクセスやクラウド連携機能を標準で有効にしています。自宅の中でしか使わない機器の場合、外部からのアクセス経路を塞ぐことでリスクを大きく減らせます。管理画面の「リモートアクセス」「クラウド連携」「P2P接続」などの項目をOFFにしましょう。
ステップ⑤:ネットワーク分離(ゲスト・ネットワーク)を活用する
多くのルーターには「ゲスト用SSID」機能があります。IoT家電・監視カメラ・訪問者のスマホは、ゲスト用ネットワークに繋ぎ、本番ネットワーク(PCやスマホでオンライン銀行をする環境)と分離します。中間者攻撃や踏み台化のリスクを大幅に減らせる基本中の基本の対策です。
ステップ⑥:AIアプリ・中国系アプリに機密を入力しない
DeepSeek・Kimi・Baidu系のAIチャットや、Temu・SHEINなどの通販アプリには、以下は入力しないルールを自分の中で決めましょう。
- 業務上の機密情報・社内資料・顧客データ
- 個人の医療情報・健康相談の詳細
- 金融口座・クレジットカード番号・暗証番号
- 自宅住所・家族構成・子供の名前や通学情報
- 人には見られたくないプライベートな会話・画像
ステップ⑦:スマホの権限設定を見直す(特に中国系アプリ)
iOS・Androidとも、アプリごとにアクセスできる情報を制限できます。TikTokやTemuなど中国系アプリを使うなら、位置情報・連絡先・マイク・カメラ・写真ライブラリへのアクセスは「必要なときだけ」に限定するべきです。使っていないアプリはアンインストール。これだけで情報収集量は大きく減ります。
ステップ⑧:重要端末は国産・日本メーカーを選ぶ
オンライン銀行・証券・税務・仕事の機密を扱う端末(PC・スマホ・ルーター)は、可能な限り国産メーカーまたは米国・欧州の信頼できるメーカーを選ぶ。娯楽用のサブ端末とは分けて運用するのが理想的です。数万円のコスト差で、数百万円規模のリスクを減らせると考えると割安です。
ステップ⑨:JC-STAR適合ラベル付き製品を選ぶ
2025年3月から運用開始されたJC-STARは、IoT製品のセキュリティ水準を☆1〜☆4で評価する国の制度です。家電量販店やECサイトで、ラベル取得製品を優先して選ぶようにすることで、危険な機器を避けやすくなります。IPAのウェブサイトで適合ラベル取得製品リストが公開されているので確認してみてください。
ステップ⑩:家族全員で情報リテラシーを共有する
最も重要なのが、家族全員での共通認識です。セキュリティ意識の弱い家族(子供・高齢の親など)の端末が侵害されると、家庭内ネットワーク全体が危険にさらされます。家族LINEグループで「このアプリはダメ」「初期パスワードは必ず変える」などの最低限のルールを共有し、定期的に振り返る習慣を持ちましょう。
万が一被害に遭ったときの行動と相談窓口
被害を感じたら即相談すべき窓口
① 都道府県警察サイバー犯罪相談窓口(不正アクセス・情報窃取の疑い)
② IPA情報セキュリティ安心相談窓口(技術的相談)
③ JPCERT/CC(組織内インシデント対応)
④ 消費生活センター(188:いやや!)(業者とのトラブル・不当請求)
⑤ 個人情報保護委員会(事業者からの漏洩通知が来た場合)
⑥ 弁護士(損害賠償請求・集団訴訟を検討する場合)
不正アクセスの証拠を先に残しておく
不審なログを発見したり、アカウントが勝手に使われた形跡がある場合、まず画面のスクリーンショット・メール・請求書・ログインログなどを保存します。被害届の受理や損害賠償請求で不可欠な証拠になります。慌てて設定を変更・削除すると、証拠が失われるため注意が必要です。
集団訴訟・団体訴訟の動きに注目する
個人で中国企業を訴えるのは困難でも、消費者団体による団体訴訟や、弁護団による集団訴訟が組まれるケースがあります。LINE事件のような大規模案件では、弁護団が集団で動くことがあるため、ニュースをチェックし、関連する動きに参加することも選択肢の一つです。
自分の個人情報が漏洩しているか確認するツール
海外ではHave I Been Pwnedなど、自分のメールアドレスが過去のデータ漏洩に含まれているかを確認できるサービスが存在します。定期的にチェックし、該当する場合はそのメールで使っていたパスワードを全サービスで変更することが推奨されます。
弁護士費用の備え──「戦える状態」を日常から作っておく
情報漏洩・不正アクセス被害で弁護士に相談・訴訟を起こすと、相談料と着手金、実費だけで数十万円単位の出費が必要になる。備えがないと「費用倒れ」で泣き寝入りになりがち。日常から備えを作っておくかどうかで、戦えるか諦めるかの差が生まれる。
情報被害の民事賠償請求にかかる弁護士費用の目安
情報漏洩や不正アクセス被害を受けて、加害者や管理責任のある企業に対して損害賠償請求をする場合、弁護士費用は一般的に次のような構成になります。
- 法律相談料:30分5,000円〜10,000円
- 着手金:請求額の5〜10%(50万円請求で5〜10万円程度)
- 成功報酬:獲得額の10〜20%
- 実費:証拠収集・郵送・裁判所費用など
請求額が小さい個人の被害(例:1〜5万円の損害賠償)では、弁護士費用を差し引くと手元に残らないため「費用倒れ」になります。これが多くの被害者が泣き寝入りする最大の理由です。
弁護士保険という備え方
弁護士保険ミカタのような弁護士費用保険は、日常のトラブルで弁護士に相談・依頼するときの費用負担を軽減するための仕組みです。情報漏洩のように「加害者が中国にいて訴えにくい」「被害額が小さくて弁護士費用が出せない」といった状況で、相談や交渉の一歩を踏み出しやすくなります。
1日98円〜の保険料で、民事トラブルで弁護士が必要になったときの費用負担を抑えられる設計になっています。サイバー被害が起きてから入るのでは遅く(既発事案は補償対象外・待機期間あり)、何もない今こそ備えるべきタイミングです。弁護士保険のプロとして、ネット社会を生き抜く家庭にとって、火災保険や自動車保険と同じくらい「入っておくと安心」だと強くおすすめします。
補償の詳細については、1日98円〜のプランから、商品内容を確認してみてください。
よくある質問(FAQ)

Q1. ファーウェイやXiaomiのスマホを今使っていますが、即座に買い替えるべきですか?
必ずしも即買い替えが必要とは限りませんが、重要な用途(オンライン銀行・仕事用メール・機密を扱う作業)には使わないのが基本です。娯楽・連絡用のサブ機として使うのは個人の判断に委ねられます。買い替えを検討する場合は、国内メーカー(ソニー・シャープ・富士通など)、またはApple・Samsung・Googleなどの選択肢があります。
Q2. TP-Linkのルーターを使っていますが、大丈夫でしょうか?
米国では販売禁止が検討されるほど警戒されており、Volt Typhoonの踏み台に使われた事例もあります。最低限、ファームウェアを最新版に、初期パスワードを変更してください。買い替えを検討するなら、バッファロー・NEC(Aterm)・エレコム・IODATA・ASUS(台湾)など他メーカーが候補になります。重要な用途にルーターを使う家庭・企業は、優先的に買い替えを検討してください。
Q3. DeepSeekやTikTokを使っていますが、すぐにアンインストールすべきですか?
業務利用・機密情報を扱う場合は強く非推奨です。個人の娯楽・情報収集用なら、アプリ権限を最小限に絞る・機密情報を入力しないというルールで付き合うのが現実的な落としどころ。日本政府・米海軍・NASA・台湾政府・イタリア政府などが公的機関での利用を禁止・制限している事実を踏まえて、個人の判断を下してください。
Q4. 自宅のIoT家電が踏み台にされて他人を攻撃した場合、私は加害者として賠償責任を負いますか?
民法709条の過失責任の観点で、明らかに放置していた場合(パッチ未適用・初期パスワード放置など)には、管理者としての過失を問われる可能性があります。企業が踏み台にされた場合、損害賠償請求された判例もあります。一般家庭でそこまで強く追及されるケースはまだ少ないですが、備えの必要性は高まっています。
Q5. 会社で中国製ルーターが使われているのを発見しました。上司に言うべきですか?
ぜひ情報セキュリティ担当部署に相談してください。個人情報保護法違反のリスクを未然に防ぐ取り組みは、組織にとって大きなプラスです。「どのメーカーのどの機種がいつから使われているか」を報告できるとより良いです。善意の情報提供なら、不利益な扱いを受けることは原則ありません。
Q6. 自治体の窓口で中国製カメラを見かけました。情報漏洩のリスクはあるのでしょうか?
自治体IT機器調達の認定品限定化は、2027年夏から本格化する予定です。それまでの期間は、自治体ごとに対応がばらつきます。懸念がある場合は、住民として情報公開請求・総務省への問い合わせ・議員への相談などの選択肢があります。
この記事のポイント
- 中国の国家情報法第7条により、中国企業は政府から要請があればユーザーデータを提供する義務を負う構造になっている。
- ADUPS事件(2016年・7億台推計)からTP-Linkルーター問題・DeepSeek送信機能(2025年)まで、中国製IT機器の情報窃取事例は10年以上絶えず発覚してきた。
- 米国は3億ドル罰金・エンティティリスト・TikTok禁止法・SDN制裁など国家レベルで締め出しに動いている。
- LINE事件で日本も個人情報保護法違反リスクが表面化。越境移転規制違反は最大1億円の課徴金・1人あたり500〜30,000円の賠償対象。
- Salt Typhoonは米通信9社以上・80ヶ国に侵入。FBIは2025年8月「ほぼ全米の個人情報が盗まれた可能性」と警告。日本警察庁も国際共同アドバイザリーに署名。
- 家庭にはルーター・カメラ・スマホ・AIアプリ・通販アプリ・太陽光インバーターなど中国系製品が多数存在。まず棚卸しから。
- 防衛10ステップ=棚卸し・ファーム更新・パスワード変更・クラウド無効化・ネットワーク分離・機密入力禁止・権限最小化・重要端末国産化・JC-STAR選定・家族共有。
- 被害時は警察サイバー相談窓口・IPA・消費生活センター188・個人情報保護委員会・弁護士に相談。証拠保全が最優先。
- 自治体のIT機器認定品限定化は2027年夏から本格化。一般家庭も今のうちから備えを始める必要がある。
🔗 あわせて読みたい(法律知識)
主な引用元:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「JC-STAR」、経済産業省「IoT製品に対するセキュリティラベリング制度(JC-STAR)の運用を開始しました」(2025年3月25日)、ジェトロ「米商務省、ファーウェイ向け輸出管理違反でシーゲイトに過去最高の3億ドルの罰金」(2023年4月)、高市早苗氏コラム「中国の関与が疑われたサイバーインシデント②」(ADUPS事件解説)、国立国会図書館調査及び立法考査局『外国の立法』第272号「中国 国家情報法の制定」、衆議院「デジタル上の人権(人格権)の尊重に反する中華人民共和国国家情報法に関する質問主意書」、個人情報保護委員会「外国制度(中華人民共和国)」、総務省「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、BUSINESS LAWYERS「LINEの個人情報・データ管理事案から考える」日置巴美弁護士解説、ITmedia NEWS「LINEの個人情報、中国の開発委託先から閲覧可能に」(2021年3月17日)、Reuters「Ghost machine: Rogue communication devices found in Chinese inverters」(2025年5月)、日本経済新聞「ファーウェイ規制とは」、ITmedia NEWS「中国AI『DeepSeek』、各国・地域で利用制限広がる」(2025年2月)、個人情報保護法28条、民法709条、不正アクセス行為の禁止等に関する法律3条・4条、FBI・CISA共同アドバイザリー「Countering China State Actors Compromise of Networks」(2025年8月)、警察庁・国家サイバーセキュリティセンター「Salt Typhoonに関する国際アドバイザリーへの共同署名」(2025年8月)
免責事項
本記事は一般的な法律情報の提供および弁護士保険代理店としての知見共有という位置づけであり、特定の法的助言を構成するものではありません。個別の事案に関する法的判断が必要な場合は弁護士にご相談ください。記事内容は2026年4月時点の公開情報に基づいており、今後の法改正等により内容が変更される場合があります。弁護士保険ミカタの補償内容・条件の詳細については、必ず公式サイトの重要事項説明書および約款をご確認ください。
工藤 辰浩
リーガルベスト代表/弁護士保険ミカタ正規代理店
リクルート在籍中に「世の中の負を解決したい」という想いを抱き、2017年に東京で弁護士保険代理店リーガルベストを創業。以来8年間で400名以上のお客様の弁護士保険相談に伴走。多くの弁護士セミナーへの参加、30名以上の弁護士との交流を通じて培った知見をmomegoto.jpで発信しています。監修弁護士様も募集中です。お気軽にお問い合わせください。

