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共同親権で何が変わる?2026年4月1日施行、「知らなかった」では済まされない親権・養育費・親子交流の新ルール
離婚・親権

共同親権で何が変わる?2026年4月1日施行、「知らなかった」では済まされない親権・養育費・親子交流の新ルール

👤 こんな方に読んでほしい記事です

  • 2026年4月以降に離婚を検討している方、または既に手続きを進めている方
  • すでに離婚済みで、単独親権から共同親権への変更を検討している(されそうな)方
  • DV・モラハラ被害があり、共同親権を拒否したい立場の方
  • 養育費を受け取っていない(または払っていない)親で、法定養育費・先取特権制度が気になる方
  • 認知した子や養子縁組がある家庭で、新制度の影響を整理しておきたい方

2026年4月1日、日本の家族法に歴史的な大転換が起きます。この日から施行される改正民法により、離婚後も父母双方が子の親権を持つ「共同親権」が選択肢として加わります。明治民法以来およそ130年続いた「離婚後は単独親権のみ」というルールが大きく変わる、戦後最大級の家族法改正です。政府は2025年10月31日に施行期日を閣議決定し、法務省・各自治体が施行に向けた体制整備を急ピッチで進めてきました。

しかし制度の全貌は、単に「共同親権が選べる」という一点にとどまりません。改正は民法第819条(親権者指定)・824条の2(親権行使)を中心に、766条の3(法定養育費)、306条(先取特権)、817条の13(養子縁組)、財産分与の請求期間(2年→5年)、親子交流の試行的実施など、離婚にまつわるほぼすべての条文に及ぶ大改訂。共同親権の選択肢に目を奪われがちですが、実は養育費を取りっぱぐれにくくする制度強化や、DV事案での安全確保策こそ、多くの当事者にとって実益の大きいポイントです。

この記事では、改正民法の条文を正面から引用しながら、①共同親権の仕組み、②選び方・拒否の方法、③法定養育費と先取特権、④既に離婚している人の親権者変更、⑤親子交流・財産分与・養子縁組の新ルール、⑥当事者が取るべき実務対応までを、2026年4月19日時点の最新情報で整理します。弁護士保険代理店として400名以上の離婚相談に伴走してきた立場から、「知っておけば後悔しない」勘所を、法律条文と家庭裁判所の運用実務に即してお伝えします。

✓ POINT

この記事でわかること

  • 共同親権は「選択制」、義務ではなく、父母の合意または家裁判断で決まる
  • 「日常の行為」「急迫の事情」は単独で判断OK、「重要事項」は共同決定が原則
  • DV・虐待事案では家裁は「必ず単独親権」、改正民法819条7項の絶対ルール
  • 法定養育費は月2万円/子1人、先取特権付きで差押えがスピーディーに
  • 既に離婚済みの人が共同親権に変更する手続き、拒否する側の防御策
  • 親子交流・財産分与5年延長・15歳未満養子縁組、周辺改正の影響もまとめて

2026年4月1日、日本の「離婚後の親権」が130年ぶりに変わる

共同親権制度の施行日 2026年4月1日 改正民法 単独親権から選択制へ

結論

2024年5月成立・公布、2026年4月1日施行の改正民法により、離婚後の親権は「単独親権のみ」から「単独・共同の選択制」へ。共同親権が義務化されるわけではなく、父母の協議または家裁判断で決まる。

改正法成立から施行までのタイムライン

共同親権を柱とする民法等改正法は、2024年5月17日に参議院本会議で賛成多数により可決・成立し、5月24日に公布されました。改正規模が極めて大きいため、裁判所・自治体・関係機関の体制整備を目的に、公布後2年以内の施行準備期間が設けられていました。

そして2025年10月31日、政府は閣議決定により施行期日を2026年4月1日と確定。この日以降に離婚届を提出する父母から、新制度が適用されます。

何が変わるのか、改正の全体像

今回の改正は単なる「共同親権の追加」にとどまりません。離婚と子の養育に関するほぼすべての条文が見直されています。主な改正項目を整理すると次の通り。

改正項目 主な条文 内容
親権者の選択 改正民法819条 父母協議または家裁判断で単独・共同を選択可
親権の行使方法 改正民法824条の2 共同行使が原則、日常行為・急迫事情は単独可
法定養育費制度 改正民法766条の3 取決めなしでも月2万円/子1人を請求可
先取特権(養育費) 改正民法306条3号 養育費が他の債権より優先弁済
親子交流の試行的実施 家事事件手続法 家裁の手続中に試行的に親子交流を実施
財産分与請求期間 改正民法768条 離婚後2年 → 5年に延長
養子縁組の代諾 改正民法797条4項 15歳未満の養子縁組に元配偶者の同意が必要

なぜ共同親権が導入されるのか、改正の背景

法務省の調査によれば、G20を含む主要24か国のうち、単独親権のみを採用していたのはインドとトルコ、そして日本の3か国のみ。欧米先進国や韓国・中国など多くの国では、離婚後も父母双方が親権を持つ共同親権が一般的です。

日本が単独親権制度を続けてきた結果、離婚後に「子どもに会えなくなる」「養育費を払ってもらえない」「片親が子育てを抱え込み孤立する」といった問題が蓄積してきました。親権を持たない親が「自分は関係ない」と感じ、養育費の支払い率が低迷(2021年度の取決めあり家庭の受給率約28.1%:厚生労働省調査)、面会交流の実施率も3〜4割台と低水準にとどまっていたのが実態です。

今回の改正は、こうした国際標準との乖離と、国内の子の福祉の遅れを同時に是正する狙いがあります。ただし、DV・虐待事案への配慮や、形だけの共同親権を強制しない設計など、日本独自の安全装置も組み込まれています。

工藤辰浩

工藤

離婚相談を400件以上伴走してきた実感として、「養育費が確実に入ってくる」「親子交流が継続する」という変化は、単独親権・共同親権どちらの家庭にも恩恵がある改正です。一方で、DV・モラハラの事案では「加害者がこの制度を口実に被害者へ干渉する」リスクへの備えが必要。本記事では両サイドの目線を入れて整理していきます。

共同親権の中身、「日常の行為」「急迫の事情」「重要事項」の3区分を理解する

共同親権の構造 日常の行為 急迫の事情 重要事項 単独行使と共同行使の区別

結論

共同親権でも、日常の行為(食事・習い事・予防接種など)と急迫の事情(緊急手術・DV避難など)は単独で判断可留学・進学・手術・転居など「重要事項」のみ共同決定が必要というのが制度の骨格。

改正民法824条の2、親権の行使ルール

共同親権が選択された場合、親権は原則として父母が共同して行使します(改正民法824条の2第1項本文)。ただし、次の3つの例外が明文化されました。

⚖️

改正民法824条の2 第1項ただし書+第2項
父母の一方が親権を行うことができないとき
子の利益のため急迫の事情があるとき
監護及び教育に関する「日常の行為」

これら3つに該当する場合は、父母の一方が単独で親権を行使できます。「いちいち元配偶者に連絡を取らないと何も決められない」という誤解は、この条文で明確に否定されています。

①日常の行為、同居親が単独で判断OK

法務省のQ&Aによれば、「日常の行為」として単独行使が認められるのは以下のような場面です。

  • 毎日の食事・買い物・外出
  • 習い事の選択(ピアノ、水泳、塾など)
  • 期限の迫った学校提出物への対応
  • 一般的な予防接種・通常のワクチン接種
  • 軽度の病気での通院・投薬
  • 日々の服装・髪型の管理
  • 地元の学校・保育園の行事への対応

これらは同居親の判断で進めて構わず、元配偶者への事前連絡や同意取得は不要です。

②急迫の事情、単独行使が認められる緊急時

「子の利益のため急迫の事情があるとき」とは、父母の協議や家裁の手続を経ていては適時に親権を行使できず、子の利益を害するおそれがある場合と法務省は定義しています(Q&A資料より)。具体例は以下の通り。

  • DV・虐待からの避難(子の転居含む。現に被害を受けているときだけでなく、加害行為が継続的に予想される状況も該当)
  • 子に緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合(手術同意など)
  • 入学試験の結果発表後、入学手続の期限が迫っている場合
  • 父母の深刻な対立で協議・家裁手続きを待っていられない場合

法務省は「DVや虐待から避難中である」事情も急迫性の考慮要素になり得ると明記しており、避難先住所の開示など加害者側に有利な対応を強要する運用にはならない仕組みになっています。

③重要事項、共同決定が必要な場面

一方で、次のような「重要事項」は、原則として父母の共同決定が必要です。

  • 進学先の選択(私立・公立、国内・海外、受験校の選定)
  • 留学の決定
  • 緊急性のない手術・長期治療・特殊な医療行為
  • 長距離の転居(県外・海外移住など)
  • 子の改姓・氏の変更
  • 大きな財産の処分(子名義の不動産売却など)
  • 15歳未満の子の養子縁組の代諾(後述)

これらを元配偶者の同意なく単独で行うと、違法な親権行使として損害賠償請求や親権者変更申立ての根拠になる可能性があります。

⚠️

意見対立時は家庭裁判所の親権行使者指定
共同親権下で父母の意見が対立して重要事項が決まらない場合、家庭裁判所に「親権行使者指定」の審判を申し立て、その特定事項について一方を親権行使者に指定してもらうことができます(改正民法824条の3)。意見対立のたびに家裁に行くのは現実的負担が大きいため、離婚時の取り決めや離婚協議書で「重要事項の決め方のルール」を事前に定めておくのが実務的なベストプラクティスです。

読者

40代男性

共同親権になったら、うちの子の転校とか、高校受験の学校選びとか、毎回元妻とやりとりしなきゃいけないんですか?結構しんどいな…

工藤辰浩

工藤

そこは誤解されやすいところで、「重要事項だけ相談が必要で、日常の子育ては同居親の判断でOK」というのが制度の設計なんです。ただ、進学や転居みたいな大きな局面では、元配偶者と連絡を取る場面は確実に出てきます。その時に備えて、離婚協議書で「連絡方法」「意見が分かれた時の決め方」を事前に文書化しておくと、揉めずに運用できますよ。

共同親権を選ぶか、単独親権で行くか、決定の仕組みと拒否の方法

共同親権の選択と拒否 DV虐待 モラハラ 単独親権判断 家庭裁判所

結論

共同親権は父母の合意が基本で、協議が調わない場合のみ家庭裁判所が判断。DV・虐待のおそれがあれば、家裁は「必ず」単独親権としなければならない(改正民法819条7項)。

改正民法819条、親権者の選択手続き

離婚時の親権者指定ルールは、改正民法819条で次のように整理されています。

⚖️

離婚時の親権者指定(改正民法819条要旨)
協議離婚の場合:父母の協議で、単独親権か共同親権かを定める
裁判離婚の場合:裁判所が、父母双方または一方を親権者と定める
協議が調わない場合:家裁が審判で決定(協議に代わる審判)

家庭裁判所が「必ず単独親権」としなければならない2つの場合

改正民法819条7項は、次の2つの事由のいずれかがあれば家裁は共同親権を選択できず、単独親権とする義務を定めています。

  • 1号:父母の一方が子の心身に害を及ぼすおそれ(虐待のおそれ)があると認められるとき
  • 2号:父母の一方が他方から暴力等(身体的暴力、精神的DV、経済的DV、性的DV等)を受けるおそれがあるなど、父母が共同して親権を行うことが困難と認められるとき

この条文は義務規定(「…しなければならない」)であり、家裁の裁量を認めない絶対ルール。DV・虐待の事情が認められる以上、どんなに加害者側が共同親権を主張しても、単独親権が強制されます。

協議離婚で共同親権を拒否したい場合

協議離婚・調停離婚・和解離婚は父母の合意に基づく離婚なので、一方が単独親権を強く希望して同意しなければ、共同親権にはなりません。「相手が勝手に共同親権にする」ことは協議離婚の段階では不可能です。

ただし、話し合いが決裂して離婚訴訟(裁判離婚)に進んだ場合は、裁判所が819条の規定に基づき親権者を判断します。この段階では、DV等の事情を裁判所に認定してもらえるかが勝負。客観的証拠(診断書、録音、メッセージのスクリーンショット、警察相談記録、シェルター入所記録など)の積み重ねが決定的に重要になります。

DV・モラハラの証拠がない場合の懸念

「精神的DVやモラハラは客観的な証拠が残りにくく、裁判所が認定してくれない可能性がある」というのは、改正法に対する法律実務家からの代表的な懸念です。自由法曹団をはじめとする弁護士団体からは、「証拠がない被害者が離婚を急ぐあまり、共同親権に不本意に同意してしまうリスク」が指摘されています。

対策としては次のものが有効。

  • モラハラ発言・メール・LINEの録音・スクショを日常的に保存
  • 配偶者暴力相談支援センター(DV相談+)の相談記録を作る
  • 警察への相談(刑事事件化しなくても相談記録が残る)
  • 心療内科・精神科の診断書(PTSD・適応障害の診断)
  • 家族・友人・職場同僚など第三者の陳述書
  • 離婚専門の弁護士に早期相談して証拠整理をしてもらう

離婚を先行させ、親権は後から決める道も開かれた

改正民法765条1項2号は重要な新ルールです。旧法では、親権者を協議で定めないと離婚届自体が受理されませんでした。改正後は、家裁に親権者指定の審判・調停を申し立てていれば、親権者を定めないまま離婚届を提出できるようになりました。

これは特にDV事案で有効で、「親権で揉めていて離婚できない」状態が解消されます。先に離婚を成立させ、別居・避難を確保した上で、時間をかけて親権者を家裁で争うことが可能になります。

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法定養育費と先取特権、「払ってもらえない養育費」が激減する新制度

法定養育費月2万円 先取特権 差押え 養育費不払い対策 改正民法766条の3

結論

取決めがなくても月2万円/子1人を自動的に請求できる「法定養育費」制度が新設。さらに養育費に先取特権が付与され、差押えが他の債権より優先される。

改正民法766条の3、法定養育費制度の新設

これまで、養育費は父母が協議で取り決めなければ1円も請求できませんでした。取決めのない協議離婚が多い日本では、母子家庭の約7割が養育費を受け取れていない現実があります。

改正民法766条の3は、この問題に正面から対処。離婚時に養育費の取決めをしていなくても、離婚の日から、月末ごとに法定養育費を請求できる権利を同居親に認めました。金額は法務省令で定められ、子1人あたり月額2万円が当面の基準です。

法定養育費が請求できなくなる期限
法定養育費は、次のいずれか早い日まで請求できます。
父母間で養育費の取決めがされた日
家裁の審判・調停で養育費が定められた日
法定養育費の請求日から6カ月経過日(取決めに向けた協議を促すため)
子が成年に達した日
つまり「取決めがない状態が続いても6カ月分は最低限受け取れる」仕組みです。

月2万円×子1人×6カ月=最低12万円を、取り決めなしでも自動的に請求できるわけです。これまで「協議が面倒だから」と諦めていた親にとって、救済の第一歩になります。

ただし支払能力がない場合は減免される

改正民法766条の3ただし書は、支払義務者(別居親)が「支払能力を欠くため支払いができない」または「支払うと生活が著しく窮迫する」ことを証明した場合、支払いの全部または一部を拒めると定めています。

生活保護受給中、重病で就労不能、失業中などの場合は、この規定で支払いが免除・減額されます。ただし単なる「お金がない」「払いたくない」だけでは認められず、裁判所が客観的事情を審査します。

改正民法306条3号、養育費に先取特権が付与される

もう1つの画期的な改正が、養育費への先取特権(さきどりとっけん)の付与です。改正民法306条3号に「子の監護の費用」が先取特権の対象として追加されました。

先取特権とは、ある債権者が他の債権者に優先して弁済を受けられる法定の担保権です。養育費に先取特権が付与されることで、次のメリットが生まれます。

  • 別居親の給与・預金を差し押さえる際、他の債権者(銀行ローンなど)より先に回収できる
  • 公正証書や調停調書で養育費を取り決めていれば、すぐに裁判所に差押えを申し立てられる
  • 取決めがない場合でも、法定養育費なら先取特権が付いているため、債務名義があれば即座に差押え手続きに進める

これまで「払ってくれない相手から養育費を回収するのは大変」と言われていた状況が、一変する可能性があります。

給与差押えの上限

養育費の差押えでは、改正後も給与の2分の1まで差押え可能というルールが維持されます(通常の債権なら4分の1まで)。養育費は「扶養を受けるべき権利」として手厚く保護されているため、半額まで一気に差し押さえることができます。

政府は法定養育費について、先取特権による優先回収の上限を子1人あたり月8万円と定める方針を示しています。これは「食費・生活費相当分」として社会通念上必要と認められる水準で、これを超える額は通常の養育費取決めで調整する仕組みです。

生活保持義務の明文化

改正では、養育費の支払義務が「生活保持義務」であることが明文化されました。生活保持義務とは、「自分と同じ水準の生活を子どもに保障する義務」です(生活扶助義務より重い)。

この意味は実務的に大きく、「自分の生活が苦しいから養育費を減額したい」という主張の通り方が変わります。自分が贅沢な暮らしをしながら「養育費は払えない」と主張する別居親に対して、家裁は生活水準の客観的比較から厳しい判断を下せるようになります。

親子交流の試行的実施、家裁で「お試し面会」ができる新制度

改正法では、家庭裁判所の手続き中に「親子交流の試行的実施」という画期的な制度が設けられました。これは、離婚調停や親権者指定の審判の途中で、家裁の監督のもと実際に親子交流を試してみる仕組みです。

従来、親子交流の条件(頻度、方法、場所、宿泊の可否など)は、書面上の合意や家裁の判断だけで決めるしかありませんでした。しかし実際に会ってみないと、子どもの反応・父母の接し方・現実的に成立する条件が見えません。試行的実施は、この「実際にやってみる」プロセスを公式に組み込んだものです。

ただし、法務省Q&A資料では、子の心身の状態に照らして試行的実施が相当でない場合は、家裁はこれを促さないこととされています。子どもの意見は年齢や発達の程度に応じて考慮される仕組みで、「お試しだから」と子を無理強いする運用は避けられます。

父母の責務と人格尊重・協力義務

改正法は親権行使以外にも、父母の基本的責務を明文化しました。特に重要なのが次の2つ。

  • 父母の責務(改正民法817条の12):親権や婚姻関係の有無にかかわらず、父母は子を養育する責務を負う。子の意見に耳を傾け、その意見を適切な形で尊重し、子の人格を尊重しなければならない。
  • 相互の人格尊重・協力義務:父母は相互に人格を尊重し、子の養育のために協力しなければならない。

これらは理念規定ですが、親権者変更の判断要素として家裁が考慮することが明記されており、実務上の重みは大きいものがあります。「相手を人格的に尊重してこなかった」「養育に協力しなかった」実績は、後の紛争で不利に働きます。

すでに離婚している人はどうなる?単独親権からの変更手続き

親権者変更 単独親権から共同親権 家庭裁判所調停 既に離婚している人 2026年以降

結論

既に離婚している人の単独親権は自動的に共同親権に変わることはない。変更には家庭裁判所への親権者変更の調停・審判申立が必要で、子の利益が認められる場合に限り認められる。

自動変更はない、改正法施行前の離婚はそのまま単独親権

法務省Q&A資料が明確に示しているとおり、2026年4月1日より前に成立した離婚については、改正法施行後も単独親権のままです。何もしなければ、現状維持で継続します。

「元配偶者が急に共同親権を主張してきた」という場面でも、父母の合意または家裁の審判がなければ変更されません。同居親が単独親権を維持したければ、変更申立てに対して家裁で争うことで維持できます。

単独親権から共同親権への変更手続き

変更を希望する場合の流れは次の通り。

  1. 父母間で協議(任意)、合意がまとまれば家裁手続きはスムーズ
  2. 家庭裁判所に「親権者変更」の調停を申し立て
  3. 調停で合意できなければ審判に移行
  4. 家裁が「子の利益」の観点から変更の可否を判断

家裁は改正民法819条6項に基づき、次のような事情を考慮して判断します。

  • 子の利益のため必要があるか(最重要)
  • 父母と子との関係
  • 父と母との関係
  • 父母の協力体制・コミュニケーション状況
  • これまでの養育費支払い実績・面会交流実施状況
  • 子の年齢・意思
  • その他一切の事情

変更が認められにくいケース

法務省Q&Aは、次の事情があると共同親権への変更が認められにくい方向に強く働くと説明しています。

  • 別居親が養育費を長期間にわたり合理的な理由なく怠っていた
  • DVや虐待のおそれがある
  • 父母間のコミュニケーションが成立しない
  • 子自身が共同親権を望んでいない(特に年長児)
  • 協議離婚の経過にDVを背景とする不適正な合意がある

養育費を払わずに逃げていた別居親が「共同親権に変えたい」と主張しても、家裁は厳しく判断します。この点は改正法の運用で極めて重要な「歯止め」として機能することが予想されます。

DVを背景とする不適正な合意の是正

改正民法819条8項は、親権者変更の判断において家裁が「協議の経過」を考慮することを明文化。離婚時の協議がDVを背景にした不適正なものだった場合、親権者変更を通じて是正する道が開かれています。

過去に「DVから逃げるために言いなりで単独親権を放棄した」ような場合でも、後から家裁で是正を求められる仕組みです。協議時の録音、メール、当時の警察相談記録などが証拠になります。

単独親権から共同親権への変更の成功パターン・失敗パターン

実務で想定される判断の方向性を、具体的なケースで整理しておきます。

共同親権への変更が認められやすいケース
・離婚後も別居親が養育費を継続的に支払ってきた
・面会交流を円滑に実施し、子と良好な関係を築いてきた
・父母間で冷静なコミュニケーションが成立している
・子自身が共同親権を望んでおり、年齢的にも十分な判断能力がある
・離婚時の単独親権指定が、当時の状況下での消極的選択だった

⚠️

共同親権への変更が認められにくいケース
・別居親が養育費を長年払っていない
・過去にDV・虐待の疑いがある
・面会交流を拒否し続けてきた、または別居親が子に会いに来なかった
・父母間のコミュニケーションが破綻している
・子自身が別居親との接触を強く拒否している
・離婚時の協議がDVを背景にした不適正なものだった

読者

40代男性

5年前に離婚して、子どもの親権は妻が取りました。養育費は毎月払ってきて、面会交流も月1で続けています。共同親権に変えたいんですが、妻が反対したら無理ですか?

工藤辰浩

工藤

そのケースだと、養育費も面会交流も継続してきた実績があるので、家裁の判断では比較的プラスに働きます。ただし元奥様が反対している場合は、まず家裁に調停を申し立てて、調停委員を挟んで話し合うところから始めます。合意できなければ審判に移り、家裁が「子の利益」の観点で判断することになります。お子さんの年齢・意思、元奥様との関係性の実情、あなたの養育費・面会実績の記録が決定打になるので、離婚調停に強い弁護士の助言を受けながら進めるのがおすすめです。

離婚と親権、「弁護士費用30万円の壁」を先に潰しておく

結論

離婚調停・親権争い・養育費回収、どの場面でも「弁護士を入れるかどうか」で結果が大きく変わる。弁護士費用が障害で泣き寝入りしないための備えが、平時の弁護士保険。

離婚実務で弁護士費用がかかる場面

共同親権導入後の離婚実務では、次のような場面で弁護士の関与が威力を発揮します。

  • 離婚協議書の作成(重要事項の決め方ルール、面会交流の具体的取決め、養育費の金額など)
  • 離婚調停の代理(親権・養育費・面会交流・財産分与の交渉)
  • DV・モラハラ証拠の整理・陳述書作成
  • 親権者指定の審判(単独か共同か)
  • 養育費不払い時の強制執行(先取特権の活用)
  • 離婚後の親権者変更調停
  • 重要事項の意見対立時の家裁手続(親権行使者指定)

それぞれに弁護士費用がかかります。相場は離婚調停の代理着手金で約30万円〜50万円、成功報酬別。親権者変更調停でも同程度。重ねると100万円を超えることも珍しくありません。

弁護士保険ミカタ、1日98円〜で離婚の法的戦いを支える

ポジショントークを抜きに本音で言いますね。私は弁護士保険ミカタ正規代理店を8年運営してきて、400名以上の離婚相談に伴走してきました。その中で一番つらかったのは、「本当は弁護士を入れたほうがいいケースで、費用のせいで諦める人」を見送ることでした

想像してみてください。長年のモラハラに耐えてきた方が、やっと離婚を決意。でも弁護士に頼めば30万円〜50万円の着手金。「自分でやろう」と独学で調停に臨んだ結果、相手側の弁護士に圧倒され、親権を取られ、養育費も満足に取れないまま、そんな話を何度聞いたか分かりません。

弁護士保険に入っていれば、この景色が変わります。弁護士費用が保険でカバーされるので、迷わずプロを味方につけられる。結果として、親権・養育費・財産分与のすべてで、本来受け取れるはずの権利をきちんと確保できる確率が格段に上がります。

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ただ、1つだけ大事なお話

正直にお伝えしておくと、弁護士保険は「何も起きていない今」しか入れない商品です。離婚調停が始まったあと、別居が始まったあと、裁判所に書類が届いたあと、その後で「やっぱり入っておけば」と気づいても、間に合いません。

逆に言えば、今この記事を読んでいる瞬間が、一番タイミングがいいということ。2026年4月からの新制度で「共同親権になるかもしれない」「養育費の話し合いが始まるかもしれない」、そう思った方は、今のうちに備えておくのが正解です。

8年この仕事をしてきて、一番よく聞くのは「もっと早く入っておけばよかった」という声です。逆に「入らなきゃよかった」と言う方には、ほとんど会ったことがありません。1日98円、缶コーヒー1本分のお金で、家族の足元が静かに固まる。その感覚を、一度味わってみていただければと思います。

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共同親権 よくある質問

共同親権のFAQ 拒否方法 再婚 養子縁組 親子交流 財産分与 面会交流

Q1. 共同親権になると、養子縁組はどうなりますか?

ℹ️

子が15歳未満の場合、養子縁組には法定代理人(親権者)の代諾が必要です。共同親権下では、再婚相手と子の養子縁組には元配偶者の同意も必要になります(改正民法797条)。元配偶者が反対した場合、家裁に「縁組の承諾をするについての同意に代わる許可」を申し立てれば、裁判所の判断で縁組ができます(改正民法797条4項)。なお、子が15歳以上なら本人の意思で決定でき、元配偶者の同意は不要です。

Q2. 離婚後に共同親権から単独親権に戻すことはできますか?

可能です。共同親権で離婚したあと、DVや虐待が発覚したり、父母の対立が深まって共同行使が困難になった場合、家裁に親権者変更の申立てをして単独親権に戻すことができます(改正民法819条6項)。特に離婚後に初めて子が過去の虐待を打ち明けた、被害者が過去のDVを話せるようになったようなケースでは、当時知られていなかった事情も考慮されます。

Q3. 再婚したら共同親権はどうなりますか?

ℹ️

再婚そのものは共同親権に影響しません。再婚相手が子と養子縁組する場合に初めて親権関係が変わります(改正民法817条の13等)。養子縁組が成立すると、養親が親権を取得しますが、共同親権だった元配偶者の親権をどう扱うかは法務省令で詳細ルールが整備されています。実務運用は2026年4月の施行後に徐々に固まっていく予定です。

Q4. 面会交流(親子交流)の回数は共同親権で増えますか?

ℹ️

共同親権だからといって、自動的に回数が増えるわけではありません。親子交流は「子の利益」を基準に個別判断されます。ただし、改正法では家裁の手続き中に「試行的実施」(お試しで親子交流を実施する制度)が新設され、合意形成が進みやすくなりました。父母の関係が良好なら、これまでより柔軟に頻度・方法を調整できる可能性があります。

Q5. 財産分与の請求期間が延びたと聞きました。いつまで請求できますか?

改正民法768条2項により、財産分与請求期間は離婚後2年から5年に延長されました。離婚当時は精神的に余裕がなく財産分与の話し合いを諦めた方でも、5年以内なら請求できます。2026年4月1日以降に離婚した方から適用されます。また改正法では財産分与で考慮すべき要素(婚姻期間、財産形成への寄与、婚姻中の生活水準など)が明確化され、裁判所の判断基準も整えられました。

Q6. 婚姻中(別居中)の親子交流も法律で決められるようになりましたか?

ℹ️

はい。改正法では婚姻中の別居時でも、離婚後と同様に親子交流について家裁で定められるようになりました。これまで別居中は法的に親子交流を定める条文が明確でなく、手続き上の混乱がありましたが、改正後は明文根拠ができ、円滑な手続きが期待できます。別居中のお父さんが子どもに会えなくなる事態の防止に役立ちます。

Q7. 法定養育費の月2万円で足りるのでしょうか?

⚠️

法定養育費の月2万円はあくまで「最低限度の生活の維持」のための緊急的な金額です。標準的な養育費(裁判所の算定表では子1人につき月4〜8万円程度が多い)には遠く及びません。法定養育費は取決めまでの「つなぎ」と位置付けられ、できるだけ早く父母間で適正な金額の取決めをすることが想定されています。取決めの相談・強制執行には弁護士の介入が有効です。

Q8. DV加害者が共同親権を口実に干渉してきたら、どうすれば?

DV加害者への対応順は、①避難を最優先(自治体のDV相談窓口・配偶者暴力相談支援センター「DV相談+」・警察)、②接近禁止命令・保護命令の申立て(裁判所)、③親権者変更(単独親権への変更)の申立て、④住民票の閲覧制限(DV等支援措置の申出)、⑤弁護士への相談で法的枠組みを整える、の流れです。改正民法824条の2の「急迫の事情」により、子の避難や緊急対応は単独で判断できます。

2026年4月、日本の家族法が新しい章に入る

結論

共同親権は「誰にとってもベスト」な制度ではなく、ケースごとに子の利益を慎重に検討する必要がある。条文を正しく理解し、DV等からの自己防衛策を備え、必要なら専門家の力を借りる、この3点が2026年以降の必須リテラシー。

2026年4月1日施行の改正民法は、単なる「共同親権の導入」を超えた、日本の家族法の大改訂です。離婚後も父母双方が子育てに関与する選択肢が開かれた一方で、DV・虐待事案への安全装置、養育費の実効的回収、財産分与期間の延長、親子交流の試行的実施など、当事者にとって実益のある周辺改正も充実しています。

大切なのは、「共同親権か単独親権か」の二択に振り回されず、自分と子どもの状況に合った最適解を選ぶこと。父母が良好に協力できる関係なら共同親権が子の利益に資する場合が多いでしょうし、DVや対立の根が深いなら単独親権が賢明な選択です。法律は「選択肢を増やした」だけで、正解を強制しているわけではありません。

もし2026年4月以降に離婚を検討している方、既に離婚済みで親権者変更の話が浮上している方、あるいはDV・モラハラで将来不安のある方は、早めに弁護士相談をして、自分のケースの最適解を整理しておくことをおすすめします。新制度は運用が始まったばかりで、家裁の判断にも幅があります。専門家のアドバイスを得て備えておくことが、子どもと自分を守る最善の投資になります。

この記事が、2026年の新制度を前に立ち止まって考えるきっかけになれば幸いです。あなたとお子様の未来が、より穏やかで幸せなものになりますように。

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📋 SUMMARY

この記事のポイント

  1. 2026年4月1日施行の改正民法で、離婚後の共同親権が選択可能に。単独親権のみだった明治民法以来130年の制度が、選択制へと大転換。
  2. 共同親権下でも日常の行為・急迫の事情は単独判断OK。進学・留学・手術・転居など重要事項のみ共同決定が必要(改正民法824条の2)。
  3. DV・虐待のおそれがあれば家裁は必ず単独親権としなければならない(改正民法819条7項)。義務規定であり、家裁に裁量なし。
  4. 法定養育費制度(月2万円/子1人)と先取特権が新設(改正民法766条の3、306条)。取決めなしでも自動請求でき、差押えが優先回収に。
  5. 既に離婚済みの場合は自動変更されない。共同親権への変更は家裁調停・審判が必要で、養育費不払い実績があると認められにくい。
  6. 財産分与請求期間が2年から5年に延長、親子交流の試行的実施制度も新設。離婚当事者にとって実益のある周辺改正が多数。
  7. 離婚・親権争いは弁護士介入で結果が大きく変わる。弁護士保険(1日98円〜)で平時から備えておけば、いざという時に迷わず戦える。

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主な引用元:法務省「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について」、法務省「Q&A形式の解説資料(民法編)」、内閣官房「民法等の一部を改正する法律の施行期日について」(2025年10月31日閣議決定)、日本経済新聞「離婚後の共同親権、26年4月に施行 政令を閣議決定」(2025年10月31日)、改正民法819条、824条の2、824条の3、766条の3、306条3号、797条、768条、765条、厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」、自由法曹団「共同親権における問題点のポイント」、各自治体公式サイト

工藤辰浩
執筆者

工藤 辰浩

リーガルベスト代表 / 弁護士保険ミカタ正規代理店

リクルート在籍中に「世の中の負を解決したい」という想いを抱き、2017年に東京で弁護士保険代理店リーガルベストを創業。以来8年間で400名以上のお客様の弁護士保険相談に伴走。多くの弁護士セミナーへの参加、30名以上の弁護士との交流を通じて培った知見をmomegoto.jpで発信しています。監修弁護士様も募集中です。お気軽にお問い合わせください。

免責事項
本記事は一般的な法律情報の提供および弁護士保険代理店としての知見共有という位置づけであり、特定の法的助言を構成するものではありません。個別の事案に関する法的判断が必要な場合は弁護士にご相談ください。記事内容は2026年4月19日時点の公開情報および法務省Q&A資料に基づいており、施行後の運用・判例の蓄積により内容が変更される場合があります。改正民法の条文・法定養育費の金額・先取特権の上限などは法務省令で定められている最新情報を必ず各自治体・法務省公式サイトでご確認ください。弁護士保険ミカタの補償内容・条件の詳細については、公式サイトの重要事項説明書および約款をご確認ください。

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